第3話『メルは掃除の名人なのじゃ』

 一月二十二日、火曜日

 午前十一時三分



「婆っちゃ、掃除はメルに任せるのじゃ!」

「あらあら、いいんかぃ? そいじゃ、お願いしようかね?」


 今日もメルは婆っちゃの駄菓子屋でせっせと働いているのじゃ。


 メルは掃除が得意じゃ。見ておれ?


 見る見るうちに埃が吸いとられていく。この隅も、あの角に溜まった埃も、メルにかかればひとたまりもないのじゃ。

 えっへん、なのじゃ。


「ほぅ、さすがやの~。やっぱり違うわ、ダイ○ンの掃除機は優秀やわ」


 婆っちゃ……ま、まぁ良いのじゃ。

 婆っちゃが嬉しそうに笑ってるなら、それに越したことはない……の……

 

 がばぼっ!!!!


「のっじゃ~っ!? 布がっ!?」


 ……


 詰まってしまったのじゃ。布。


 メルは詰まった布を取り除こうと奮闘する婆っちゃの背中を見つめておるだけじゃ。

 やっぱり婆っちゃは凄いのじゃ。


 全然、敵わないのじゃ。


「ほれ、取れたとれた。吸引力が何ちゃら言っとるけど、強すぎるのも難儀やなぁ~」


 そう言って婆っちゃは、いつもの笑顔でメルの頭を優しく撫でてくれるのじゃ。


 非常に心地よいのじゃ~。

 だからメルも笑顔をお返しするのじゃ!




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