第2話『メルは洗い物も得意なのじゃ』
……
「ご馳走様なのじゃ!」
「綺麗に食べたなぁメル。出会った頃は箸もまともに使えんかったのになぁ、よしよし」
「婆っちゃ…く、くすぐったいのじゃ…」
しかし、非常に心地よいのじゃ~!
「婆っちゃ、洗い物はメルに任せるのじゃ!」
メルは洗い物も得意じゃ。見ておれ〜?
プス……
包丁で指先を切ってしまったのじゃ……
婆っちゃは慌ててメルの指を冷たい水で洗い流すのじゃ……冷たい……っ
「冷たいっ! のじゃ~っ!」
「ちょっとやから我慢しなはれ。冷やした方が血は止まりやすいから」
婆っちゃはメルにそのまま冷やしておくようにと伝えては救急箱から絆創膏を取り出したのじゃ。
冷たいけど婆っちゃの言う通りにするのじゃ。
婆っちゃは濡れた指を拭きとっては丁寧に絆創膏を巻いてくれたのじゃ。
「……ありがとう……なのじゃ……」
婆っちゃは、いつもの笑顔を見せてくれる。
顔がくしゃくしゃになるその笑顔が、メルは大好きじゃ。
そんな時は少し恥ずかしいけど、メルも笑うのじゃ。上手に、笑えてるかな……?
メルは洗い物をする婆っちゃの背中を見つめておるだけじゃ。婆っちゃには敵わないのじゃ。
メルはいつも、婆っちゃに助けられて……
助けられてばかり……なの……じゃ……
「……よし、メルや? おやつに何か……ほぅ、気持ち良さそうに眠ってるわ、お布団かけてやらんとなぁ、よしよし」
……
午後十一時、メルはふと目が覚めたのじゃ。
隣では婆っちゃが眠っておるのじゃ。
お腹が空いたのじゃ
婆っちゃは、メルの心を癒してくれる……
今日も婆っちゃの隣で眠るのじゃ。
あたたかい……のじゃぁ……!
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