第7話 未払いの請求書

中央都市に個人的にギルドを持つエルナ、人材不足でガロの故郷、農村地帯へと向かい、エルナが目を射止めたのがキバだった、この農村地帯は地名もなければ、地図にも載ってないガロの記憶が頼りでたどり着いた場所だった。


朝からドアをノックするエルクタム、何故か少し、焦った様子だった。


「エルナ、約束通り来た!早速、中央都市に向かおう、急がなきゃロリババアに怒られる」


中央都市は魔女ギルドの集まり、ほぼ魔女しか住んでおらず、高利貸し魔女までいるとい言う、高利貸し魔女は高額のお金を貸してくれるが、延滞料金が発生した場合は、ギルド内の持ち物全て没収やら、無料で働かせその分を回収する魔女のことだ。


「まさか?エルクタムお前、高利貸し魔女から金借りたりしてないだろうな?」


ガロはエルクタムの行動が少し変だったので、サラッと聞いてみた。


「な?!そんなことないよ、事務を任されている私が高利貸し魔女から借りるなんて……」


精霊石を三百個なんて、高額で買えるはずがなかった、でもエルクタムは用意して、新しい魔法を使った、怪しいのだ、ガロはギロリとエルクタムを睨む。


「じゃあ、領収書をみせろエルクタム、どこから買った!高利貸し魔女からだろ」


ガロはエルクタムに怒鳴り、領収書をみせろと喚く、高利貸し魔女はお金の代わりに精霊石や新しい魔法の貸付けもやる。


「仕方ないじゃん!全然帰って来ないエルナとガロが悪い、ギルドに残ってると怖いおっさんが来るんだよ!」


確かに、三週間くらい音信不通だったから、返す言葉もなかった、二階からエルナが降りてくる、何としても、エルナには知られないようにしなければ、お金に執着心がないエルナでも、高利貸し魔女に関わったと知れると、まずいので兎に角、エルナにキバを連れて来るようにガロは頼んだ、エルナはうへぇと寝起きのボサボサの髪で出て行こうとしたのでガロは一階の風呂場に押し込めて、シャワー浴びさせて、キバが勤める酒場に向かった。


朝から、酒場に着いたエルナは少し驚いた、朝からお酒は出さないけど、店を経営していた。


「なるほどね!朝は喫茶店をやっているようだ朝は軽食を取れるのか、まぁ私は食べれないからいいけどね」


エルナは露店販売している、鉱石に目がない


「あれは!マグマ鉱石、となりにあるのはアクアマリンなかなか見かけないのに、なんでこんな所に?」


露店販売のお姉さんはエルナを見ると、にこりと笑い勧めてくる


「興味のあるの?炭鉱があってね旦那が掘ったのを私が加工してアクセサリーにしてるの」


いわゆる、一般的なシルバーアクセサリーに小さな宝石を付けたアクセサリーなのだが、エルナにはとても美味しそうに見え眼がキラキラと輝いていた、キバは今日のシフトは朝からだったらしく、酒場の前に露店でエルナを見かけて、声をかけてきた。


「エルナさんおはようございます、朝から買い物ですか?」


「あぁ、買い物じゃなくてな、お前に用事があってギルドに入ってくれないか?嫌なら別にいいんだけどさ」


内心エルナは焦っていた、魔術ギルド協会で人数が揃ってないギルドは除名され、中央都市では仕事を受けられないようになってしまうのである、エルナはまだ知らないが、多額の借金を抱えてしまっているのも事実で八方塞がりでエルクタムも、頭を抱えていた。


「え…俺が魔術ギルドに?昼まで待ってもらえますかエルナさん仕事が終わりますので昼で」


エルナは護衛も兼ねて、ギルドに入ってくれと頼んだのだった、自分の立ち上げたギルドが人数が揃わないと打ち明け、エルナは頭を下げてキバに、メンバーに入ってくれと頼みこむとキバは、あっさりと承諾してくれた。


(ほらなオレが言った通りになっただろう)

心の中でロキの声がキバに聴こえた、実は昨晩、キバとロキはエルナが仲間に誘いに来るかどうかの賭け事をしていた、ロキはエルナが誘いに来る方で、キバは誘いに来ないと賭けていた、負けた方は身体を貸すと、特殊な賭け事だがロキの勝ちで夜からロキが身体の人格の持ち主になるようだ

エルナは賭け事のことは知らないことで、キバとロキの賭け事だった、昼にヤナギの小屋にキバと帰ると、エルクタムが少し怒り気味で「早く中央都市に行こう、あ!そちらがギルドメンバーになってくれる方ですね」とエルナの服を引っ張ってるのを止めて、軽くエルクタムは一礼をした、昨日ヤナギの小屋に設置した精霊石を使った移動用ゲートの前に立つ


「なぁ?エルクタム何か隠しごとしてないか?さっきから様子が変なんだけど」


ガロは慌てて、話をそらすが、エルクタムはひと息ついて「多額の借金を負っています、私たちのギルドは借金まみれで、高利貸しのディアナから借金をしています」


ガロは自分の額に手を当て、「喋りやがった」と肩をガックリと落とす。


エルクタムはゲートを起動させると、エルナたちを押し込むように、潜らせ「行きましょ、行きましょ」と言って説明もなしで中央都市のエルナのギルドに到着する。


ギルドの中は書類で散らかっており、まるで強盗にあったような散らかりようだった。


「エルクタム強盗にでも入られたのか?」


「違いますよ、多分カーミラが来たのかも」


床に落ちている白い羽根を拾いエルナに見せる、高利貸し魔女ディアナの部下の使い魔です、金目の物を持っていったようですね。


「取立てをしているナナシには気おつけてくださいあいつは相当危険ですので」

白い羽根を指でくるくる回しながらエルナにナナシの特長を伝える


「ナナシは額にゴーグルを付けて白髪短髪、依頼された内容は全てこなす、冷徹なやつです」


「そうか、ナナシには気おつけよう、それにしても便利だなこの装置、エルクタム凄い術を使うな!」


中央都市では、高利貸しのディアナは悪徳業者として有名で、名前をだすだけで、人払いができるほど有名なのだ。


以前セレナ婆から、ディアナの話を聞いた、ディアナも月の女神の使いの人形でかなり前から、稼動していたらしい、魔法には頼らず、化学の力で

魔法を再現し周囲から、錬金術やら科学者とも呼ばれている、はぐれ魔族や行き場のない魔族を引き取り、魔女と契約させ使い魔にしている、噂では、人工的に魔族を作りだしたとも聞く

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魔女の護衛と狼騎士 幻想花 @kaz55aqa0218

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