第23話

真紀の手紙を次に行くときに持っていくことを告げ、俺はやらなきゃならないことをするために待っている。


あんなに苦手な待ち合わせ。

今だって得意じゃないけど、少しはマシになった気がしていた。


『お待たせ、和也君』

「急にごめんな……三島」


呼び出すのは…待つのは苦手だ。

だから、来てくれるだけでこんなに嬉しいなんて知らなかった。


「この前はごめん。自分のことでいっぱいいっぱいで」

『……大丈夫だよ?気にしないでっ』


嘘だとわかるような無理な笑顔。

やっぱり強いや三島は。

今度は俺の番だ。


「…もう遅いかもしれないけど

三島、俺は─────────」


…… 三島は泣きだした。強いと思ったばかりだけど、弱いとこもある。

嬉し涙だといいな…なんて。


『……うん、……うん!』


俺の胸に飛びこんでそのまま泣いている三島はこんなに小さかったんだな…。

そっと抱きしめて三島の想いを受け止める。


長いような、短い時間が過ぎて……


「……あっ」


空からは白い雪。

10月の終わり、今日は真紀の誕生日だった。

季節外れのこの雪は真紀の祝福だったらいいななんて都合いいかな?


───もしこの雪が積もってくれるなら

明日の朝は早く起きよう。


最初にこの雪に足あとをつけたいから。



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雪の足あと @kazu0518

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