「Life Hackはチラシの裏」のいるダイニングキッチン



「…で、いい?」


突然聞こえてきた声に、壁にもたれてうたた寝をしていた私は、驚いて飛び起きた。


誰?

何?

隣の人の声?


恐る恐る首を伸ばして、キッチンを覗くと、人類最強生物 motherがそこにいる。


え?

なんで?

手にしていたマシュマロタッチの綿毛布を握りしめる。


和む。


プンと出汁の効いた味噌汁の良い香りがする。


「冷めるよ」


はい…

頷き席につく。


どうして逆らうことができようか。


納豆の上には細くカットされてカールしている白髪葱が、ホヨンと笑っている。


「漬物、あるよ」

色彩豊かな古伊万里の器の上には、真っ白の蕪が表面に透明な汁を光らせて置いてある。


ポリポリ

何これ 美味しい。


私は急いで、ほこほこに盛られた白いご飯を掻き込み、軽い木製の音を立てて味噌汁をかき混ぜると、箸を持ち替えてそれに口をつけた。



あち…


「あ、冷たい方が良かったね」


彼女は体を伸ばして、私の味噌汁を取り上げる。


「ほら、こっちをお飲み」


白いポッテリとしてた汁が、緑の小さなアクセントを乗せてそこにある。

キンと冷えたじゃがいものスープが、私の口内から喉へ、そして胸へしみて行く。


先程まであった白いご飯は、全粒粉のパンに変わっている。ガラスの器にはウォッシュチーズ。


サラダがそっと添えられている。


彼女は、キチンとアイロンの掛かったリネンのエプロンをつけて笑っている。


リネンのエプロンからは、石鹸の良い香りが漂ってきている。


朝陽を浴びて輝いている、彼女の後ろの庭は手入れが行き届いて美しい。

その庭から香るのは、蔓を持った薔薇の甘い香りだろうか。


せやけど、エプロン、裏っ側やで。


ええけどな。




日向がそろそろ暑くなる頃に、日陰の玄関の石段に座って、笑いながら話をしているような、気さくで楽しい話に満ちている。


日本に暮らしている私には、分からない話もあったりが、また楽しい。


海の向こうで、誰かが今日も「なんや、そうか!」と手を叩いて笑っている。


ちょっと、心がささくれた時に読みたい。

実用なアドバイスもオススメだ。


私も靴下の片方の中に入れ込んで、平たくして仕舞おうと思う。


https://kakuyomu.jp/works/1177354054887721090


近況ノートも一読されたい。

アホ毛の前髪が見たいのは、私だけでは無いはずだ。

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