14.読み専が教える作者が理解できない読者の行動

 予定では本日14回目で完結のはずだったのですが、よく目にする「なんでこんなことするの・してくれないの」的な作者の不満に対しての回答を急遽きゅうきょ書いてみたいと思い、一話追加します。

 

 もちろんこの回答が全ての場合に当てはまるわけではないですが、参考にはなると思います。

 

 少なくとも私自身、こういう行動を取ります。

 もしそれで作者様が不快に思われたとしたら、申し訳ありません。

 

 ここまで読んでいただいているの方々ならきっと理解していただけるとは思いますが、一応?(笑)

 

 

 

 ■応援ハートを付けてくれない

 

 その昔、mixi(ミクシィ)というSNSがありまして、そこ特有の機能として「足跡」というのがあったのです。強制的に誰が訪れたかを記録する。作者側には、誰が訪問してくれたかまるわかりなのですよね。

 

 読者側にはこれは非常にいやな機能です。

 

 プライバシーはどこ行った! という感じですね。ちょっとのぞき見したいだけなのに! みたいな。

 これ以来「足跡」というのはある意味「忌避される」機能的な印象があります。

 

 そう、応援ハートを残すのは、足跡を残すのと同じくらいの抵抗感があります。(おそらく読者の年代によるでしょうが)

 

 さて、もちろん「おお!」と思えば、応援の気持ちで応援ハートをポチるわけですが、じゃあ、ポチったとして、他のエピソードは? 特に面白くないから付けない? いや、でもそれじゃまるで、あからさまに「面白くない」「応援しない」といっているように見えるのでは? と葛藤が生じます。

 

 さて、ここで行動パターンが三つに分かれます。

 1.「いろいろ思われたくないから全部に応援ハートを付ける。足跡でーす」または「おおー、この作品面白いからどんどん付けよー」

 2.「足跡嫌い。全然付けない。読んでることを知られたくない。別に面白くないわけじゃないけどね!」

 3.「いや私はあくまで面白いエピソードのみ応援するわい」

 

 まあ、このパターンのどれか、というよりもその時の気分やカクヨム歴で変わるかも知れませんね。

 私は当初2でした。黙って読んでいました。途中から3になり、だんだん3+1になってきたという感じですかね。

 

 私が思うに、2の読者は結構いると思います。

 あとは、そもそもそんな機能の存在なんか知らないという勢力ですね。

 

 

 

 ■怒濤の応援ハートがウザい

 

 全部ハートをつける重大な理由。

 

 それは「しおり代わりに使う」です。

 

 カクヨムは明示的に任意の場所にしおりを挟めません。

 最後に読んだエピソードと場所は覚えてくれて、マークまで表示されますが、それじゃあ使い物になりません。なぜなら、いろいろな理由で任意のエピソードに確認に行ったりしてページを移動するからです。

 さて、こうなるとどこまで読んだか確実に知りたい方法は何か? となって、じゃあ、読んだエピソードにはハートを付けよう、となるわけです。

 もっとも、足跡を残したくないという気持ちとの葛藤になりますが。

 

 小説家になろうでは、ブックマークを更新すると、明示的にページを覚えてくれます。なので、最後に読んだ場所は自分で決められるのですね。

 私は、カクヨムに来た当初、それができなくて、かなりフラストレーションがたまりました。

 カクヨムでもしおり機能をぜひ実装していただきたい。

 

 いずれにせよ、ページを訪れてくれているのは確かなので、その意図が何であれ感謝すべきでしょう。

 

 なお、この目的でハートを使う場合、読んだタイミングと関係なく、任意の時点で一挙にハートを付ける可能性があります。これは、次の項目にも関係あります。

 

 

 

 ■応援ハートを付ける間隔が短い。本当は読んでないだろ!

 

 これがそんなに気になるとは思いませんでした。

 しかも「自分の作品を読んでくれのアピールのためにやってるのではないか!」とか疑心暗鬼になる。

 

 いや、なんでそうなる!

 この文句を言う方たちは、きっと、あまり自分では読みに行かないし、ハートを付けないのですね?(笑・少し嫌み)

 

 いえまあ、そういうことをする作者がいるかも知れませんが、それならそれで、その涙ぐましい努力を温かい目で見てあげてください。

 

 

 さて、まず、カクヨムのハートの性質を考えてみましょう。

 これまで述べたように、ハートには「応援」の役割と「足跡」の役割の二つの性質があるわけです。そして、読者にもすくなからずの葛藤があるのは理解できるでしょう?

 それらを考慮すると、どういう行動パターンになるか考えてみてください。

 

 1.足跡を残さずにこっそり読みに行く。(動機はいろいろですよ!)

 2.ある程度読んで、「おお、これむっちゃおもしろいやん!」と気づく。

 3.よし、応援しようと思う。

 4.あ、でも、ここまで応援マーク付けていないやん! と気づく。

 5.「くそ! おれは読んだ場所には応援ハートを付けるんだ!」、もしくは、「うん、面白かったから応援ハートを残さなくちゃ」と思う。

 6.読んだ分をまとめて応援ハートを付ける。

 

 どうでしょう? 分かりますか? ある意味、その読者はありがたい存在なのです!

 一部にいる知れない心ない作者の存在に疑心暗鬼になるよりも、こういうありがたい読者の存在のことを考えてはいかがでしょうか?

 レッツ、ポジティブシンキング!

 

 

 なお、私は上記の行動を少なからずします。

 ああ、わたしは浅ましい作者と思われていたわけですね……(泣)

 

 

 

 ■応援ハートの通知間隔が短い

 

 前の項目と基本的に同じですが、システムの視点で説明します。

 もし、通知が一斉にきたせいで、読んでいる間隔が短すぎ? と思われた方。

 それはあなたの誤解です。

 そもそもハートポチった瞬間に同期してリアルタイムで通知がいくわけではありません。そんなことは不可能ですし、そんなシステム設計はあり得ません。

 

 実際の処理のシーケンスは大体こんな感じになります。

 

 ・ハートをポチる。

 ・サーバーに情報が送られる。

 ・ハート応援がなされたという通知メッセージがされる。

 ・キューされたメッセージを通知配布システムが拾って、実際に通知を行う。

 

 ここで大事なのは、この「キュー」です。

「メッセージ・キューイング」といって、メッセージを供給する側と、実際にそれを配布する側との間にバッファーがあって、非同期で処理を行います。

 

 さて、通知配布側はメッセージを送るだけなので、どんどん通知します。メッセージの量によって処理の速度は変わるでしょう。

 

 たとえば、実際には読者は5分おきに応援ハートを付けていたとしても、処理の都合上キューにたまり、通知はまとめて送られる可能性があります。ある程度固めて一秒おきとかね。

 なので、通知の間隔と、読者の実際の読む間隔は異なるということを覚えておきましょう。

 


 

 という事で、一見「何で?」と思われる行動にも、それなりの理由があるかも? という内容でした。

 

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