情景描写が素晴らしいです。雪の中駆け落ちする男女の話。罪を犯しながらも互いを愛した結末が切ない……!「春琴抄」を思わせるような、男女二人だけの、他人からは不幸に見えるような幸福がそこにあります。沁みる純文学が読みたい方におススメです!
どこまでも続く雪原を、手に手を取って逃げる男女。彼らの黒髪と赤い唇を想像しながら、脳内に広がる美しい光景を堪能させていただきました。雪の日に人々が家の中に閉じ籠る理由。雪化粧という言葉の新たな意味づけ。物語のそこここに、作者の豊かな発想力が光っています。