第4話

俺が告白してから3日たった。

付き合うことができた当日は、気分が上々だったので、勢い余って思わず家族全員分のケーキを買っていった。

すると、両親には「悪いことは言わないから、病院に行ってきなさい。」と言われ、

中学3年生の妹には「兄貴絶対〇〇卒業した……」と、折角買っていってやったのに、辛辣なコメントを頂いた。(次に嬉しいことあっても、絶対に買ってやらねぇ……)

 だが、告白の当日こそ、そんなコメントを軽く受け流せる程、気分が良かったものの、翌日の学校では、一言も喋ることはなく、その次の日も会話はなかった。

そして今日も今日とて、結局なにも話せなかった俺は下を向きながら歩く。

「なんか付き合い始める前よりも喋ってないよなぁ……」

そんな事を愚痴る。


「付き合い始める前がどうかしたの?」

後ろから背中を叩かれ、びっくりして声の主を確認するために振り返ると、そこには

井上がいた。


「い、井上!?」

「いつからそこに?!」

まさか、井上が突然現れると思っていなかった俺は、告白のときと同様に、喋れなくなってしまう。


「いや〜、なんかさ、やけに元気のない背中が見えたから、びっくりさせてあげようと思ってね。」屈託のない笑顔で笑うと、井上はおもむろに、手を握ってきた。


心臓の鼓動が一瞬で跳ね上がる。


「じゃあ、歩こうか☆」

井上はそう言うと、俺の手を握ったまま歩きだした。

家に着くまでの数分間は俺の心臓は爆発しそうだった。

家の近くまで来ると、突然、井上が

「飯島くん少し時間ある?」

「息抜きに、そこのカフェでお茶でもしない?」

少し上目遣いに井上が俺を見てくる。


「お、おう……」

突然の提案と上目遣いで戸惑う俺。

そうして、俺達はカフェに入ることになったのだが、今思うと、これが人生の転換期だったのかもしれない。

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困った世界になりました。 大根の煮物 @DAIKONNONIMONO

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