白い虹が嫌いです

狼狐 オオカミキツネ

2月1日

この小説を読むにあたって


この小説はノンフィクションです。

この小説には身近な人の死について書かれています。

この小説は慰めて欲しい、や同情してほしい等の理由で書いたものではありません。記憶として残すことと、自分の気持ちに踏ん切りをつけ立ち直るために書いたものです。


以上のこと全てに了承して頂いた方のみこの小説をお読みいいただけますよう御願いします。










「見てー!白い虹が出てる!」


「ホントだ!」


白い虹を見つけスマホで写真を撮る女子高生の会話が耳に入る。

カメラの方向を見ると確かに白い虹がかかっている。

初めて見た、その思いと同時にあることを思い出した。


『白い虹が出た村に大きな地震が起こった。』


都市伝説の好きな僕はそのことを思い出した。大きな地震に注意して生活しようと、学校に向かう。



学校に着いてからいつもつるんでいる友人に、白い虹のことを伝えた。

彼も同じく都市伝説が好きだったので、興味津々に聞いてくれた。


その日の学校は特に何もなく僕らは帰路に着いた。

彼は電車で、僕はバスに乗る。その時にも注意を促した。


バスの前の方に立っていた時、


『2月1日』


という表示がやけに目に着いた。


家から帰ると、ベッドに身を任せそのまま寝てしまった。



どれくらい時間が経ったのだろうか。

身を起こすと、母が電話をしている声が聞こえる。


いつもと雰囲気が違う、そう感じた僕はリビングに行く。


「もしもし!?もしもし!?」


と、母が懸命に話しかけている。


緊張した空気が漂う。

電話を切った母に聞くと、どうやら父が病院に運ばれたらしく、母は病院に行く準備をするらしい。僕と兄は後から祖母と行くことになった。

祖母がつくまでの間、僕は父が入院する為の荷物を準備していた。


準備をし終えた頃、祖母が到着した。


車の外では雪が降っている。


病院に着いた時、待合室に母はいなかった。祖母が電話で場所を聞いた。

祖母は驚いた顔をし僕らに告げた。


「父さんは霊安室にいるんだって。」


僕はその場に泣き崩れた。まるで子鹿の様に震える足を見て心配してくれたのか兄は肩を貸して一緒に歩いてくれた。兄も泣きたかっただろう。


冷たくなった父のもとでまた泣き出してしまった。父は安らかに眠っていた。のちの検査で急性大動脈解離という病気で亡くなったということを聞いた。相当痛いものだったらしいが、父の死に顔は綺麗だった。父の鳩胸は微動だにしていなかった。


兄も初めて泣いていた。


泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて。


家に帰っても今日は泣き止むことはなかった。そしてここから一週間、涙を何度も流した。


父が死ぬ前日、一緒に見た月が好きになりました







この作品を日数分けしようと思っていましたが、内容としては僕が泣いているだけですので、この一日だけにしようと思います。


ところどころ泣いてしまいながら書いていた為、少し短くなってしまいました。泣いて現実と少し向き合うことができましたが、まだ父が出張にいている感覚は消えていません。


ここまで読んでいただき有難うございました。

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