負けず嫌いたちのゲーム、これでやっと同級生

 球技大会当日、初戦の相手は運悪く優勝候補の一角である3年生のチームだった。けれど現役のバスケ部はもちろんいないし、バッシュを履いている人もいない。けれど甘野老は「3年間も履かない靴を持ってるやつがいるか?」と、静かに相手を見ていた。


 一応身体を動かす準備時間はあるので、その間のシュートフォームと、レイアップの足運び、バスケ部特有のストレッチなどで、中学時代にバスケをしていた人物が2人紛れ込んでいるのがわかった。1人はスリーからのシュートの感触を確かめているのでわかったし、もう1人は特有のルーチンでわかった。ボールを手の中で意味もなく回したり、軽いハンドリングをするのはバスケ経験者だけだ。


 けれど3年もバスケから離れていたならこちらの方が有利だろう、と桜庭は踏んだのだが、どうにも、3年のチームは運動部が多いらしい。夏で引退したにしたって体格がいいし、筋肉もまだ残っている。甘野老が「多分6番が元サッカー部で、7番と8番は元野球部だ」と言った。桜庭が「なんでわかるんだ?」と尋ねると、「筋肉の付き方」とだけ返ってきた。そうしたら桐谷が苦笑いしながら解説を挟んでくれる。


「あーうん、サッカー部だとな、やっぱ脚に筋肉がつくわけよ。まあ空中戦とかあるし、競り合いでも体幹使う全身運動だから全体的につくわけなんだけど……やっぱ腕には付きにくいのよ。キーパーじゃないならほとんど使わないし。ていうか使ったらアウトなスポーツなわけだし。ほら、脹脛とか太腿とか下半身は結構筋肉あんのに、なんか腕だけ妙に細いだろ?ま、一流選手だったら例外もいっぱいいるんだけどさ、引退したらそりゃ真っ先に細くなるのは腕だよなぁ。で、野球部はケツ見りゃすぐわかる。野球やり込んでる奴ほどデケーから。で、俺の見立てだと、6番は多分ポイントガードやるな。アップの時全体みれてたから、サッカーでも司令塔やってたんだろ。で、バスケ部の奴らは多分スリー投げてたやつがシューティングガード、ハンドリングしてた奴がセンターだな。ちょっとタッパ足りないけど、インサイドの要を素人にはやらせないだろ。あとは適当に……あーパワーフォワードは多分7番。あれ、たしか野球部の元4番でエーススラッガーだった奴だ。動体視力と体幹半端ねーだろうからなー。あー……でもちょっと、いや脚はかなり遅かった、かも。でもホームラン打てる打者だから、力比べのインサイドに投げ込んでくるだろうなあ」

「……野球部の試合なんか、見たことあるのか?夏の大会にしたって、2回戦かそこら負けだったろ」

「ん、友達がさー別の高校に行ってんだけど、1年でスタメン取ったから、デビュー試合観に来いって言われて。それがたまたまそことうちの高校だったの。そいつすげー脚はえーから打順1番もらって、とにかく塁に出て盗塁しまくり……あ、まぁこの話は置いといて、作戦会議!」


 桐谷は全員を集めると、「さて、キャプテン、どうする?」と腕組みをした。桜庭はかなり緊張して頭が真っ白になったけれど、英語で説明するより断然マシだ、と、前を見た。


「敵チームはブランク長い3年だけど、こないだまで運動部だった先輩と経験者で固めてきてる。けど、こっちは経験者4人いるし、現役運動部もいるから、大丈夫。で、マッチアップは俺が5番の、多分センター。で、甘野老が4番。この2人が経験者だから。で、桐谷を初心者とマッチアップさせる。でも1番力が強いやつ頼んだぞ。ディフェンスもオフェンスもインサイドは任せる。で、俺たちのチーム、結構身長が高いチームだ。180越えが3人いる。でも相手は多分1人しかいない。インサイドで競り負けることはないし、相手のスリーポイントシューターの成功率はブランクで多分5割以下に落ちてる。波に乗らせなきゃ大丈夫だし、マッチアップは同じシューターの甘野老がいるから大丈夫。元運動部で固めてるなら守備はスタミナ使うマンツーマンで来るから、こっちも普通にマンツーマンでいい。こっちのスタミナ考えたら前半で差をつけたいから、身長が高い……ええと、渡辺がスタメンで。……で、桐谷、ティップオフの時、ジャンプボール、確実に取れるか?」

「ん?んー……かなり余裕で」


 桐谷は身長も高いのだがしかし、手足も長い。すらりと腕を伸ばしただけで、リングに掠るのではと思えるほどだ。実際はジャンプしなければ網にすら掠らない程度なのだけれど、オフェンスやディフェンス時にはものすごいプレッシャーで、その巨躯がさらに大きく見える。


 そして手足が長いからヒョロく見えるかというとそうではなく、半そでを捲ったところから見える肩から二の腕にかけた筋肉は盛り上がっていたし、上腕三頭筋までくまなく鍛えられている。ジャージからのぞく脹脛だって立っているだけで筋肉の隆起が見えるのだ。こんなのは化け物だ、心底味方でよかった、と桜庭は思う。それは甘野老もおんなじで、腕や脚は勿論、腹筋まで綺麗に割れている。桜庭は力を入れてがんばっても筋がうっすら見えるだけだと言うのに。


「……じゃあ、できれば俺の方に弾いてくれ。そうしたら俺が普通にレイアップで初得点決めてもいいんだが、……流れが欲しい。だから桐谷をフル活用する。ちょっとゆっくりボール運んで、桐谷は必ずフリーでいてくれ。どこにいても通してやるから、ダンク、よろしく。両手ならなおいい。で、相手がそれ見上げるだろうから、バイオレーション取られない程度、リングにつかまっててくれ」

「……ふーん……勉強抜きでも頭いいのはわかってたけど、性格もそこそこいいな、あんた。りょーかい。なんなら、レーンアップ(フリースローラインで踏み切ってゴールするダンクシュート)、決めてやろうか?」

「NBAパフォーマンスやらダンクコンテストの観すぎだ……で、序盤はそれでいいとして、あとはどうする」

「ダンク決まれば、インサイド固めるだろ。そしたら俺が甘野老をフリーにするか、甘野老が自分でフリーになるかして、スリー決めてくれ。外もあるって見せつける。で、相手が外か内かってなったら、俺のペネトレイトで最低2人、反応早い元バスケ部抜いて、普通にシュートする。そしたら即席チームの相手は大混乱だろ。勝手に自滅する」

「……桜庭、お前、なんかバスケになると結構性格悪いぞ……。あと普通に『決めてくれ』って要求するの、ハードルとか考えないのか。プレッシャーとか……普段弱気なくせして元バスケ部2人抜くとか……」

「……え、だってあんた、決めるだろ。それにプレッシャーとか、気にするのか?……元バスケ部っていったって、ボールハンドリング見てたら、もう筋肉とれてる帰宅部っぽいし、俺でもいける」


 甘野老は嘆息して、「それもそうだな」とだけ言った。


 そんな作戦を立てているうちに、主審のバスケ部顧問がピピーと笛を鳴らした。副審は2年のバスケ部だ。その他のタイムキーパーや細かいタイムオペレーターはバスケ部の下っ端が務めているらしい。スタメン5人は背番号順に整列して、向かい合い、キャプテンナンバーの桜庭と同じキャプテンナンバーの3年が形式どおり握手をした。その時にぼそっと「わかってるよな、俺たちは3年だぞ」と相手の6番が呟いた。真正面に居た甘野老は嘆息してから相手をギロリと睨んで、「Although it is bad, I dislike the vertical society of Japan, and it is a pesty run by a fucker like you. I will not give up. This fucking third-year student」と吐き捨てた。


 審判に聞こえたら試合前だと言うのにテクニカルファウルを取られるのでは、と桜庭はひやひやした。幸い、主審は英語の教師ではなかったけれど。それを吐き捨てられた3年はほとんど意味がわからなかっただろうが、「fucker」だとか「fucking」だとかそういう単語だけ拾って、ギロリと甘野老を睨んだ。が、甘野老の黄金の眼光のほうがずっとするどい。


 礼をしたあと、桐谷がこっそり、「なあ、甘野老、なんて言ってたんだ?クソとか嫌いとか日本とかクソ3年生とかはわかったんだけど」と聞いてきた。桜庭は「え、ああ、多分『悪いけど、俺は日本の縦社会が嫌いで、さらにあなたのような……ひどい奴には……あ、いや、ひどい奴は大嫌いだ。あきらめるわけないだろう。この……最低な三年生さん』って言ってたな」と、答えた。できるだけ綺麗な表現を使ったが、もとがクソなので、これが限界だ。桐谷は「ふーん」、と言いながら、センターサークルについた。


 桜庭が桐谷がやりやすいようにとフロントコート側に走っていくと、桐谷はちょいちょいと、バックコートを指した。桜庭は性格が悪いのはどっちだ、と思いながらも、バイオレーションを取られる前に急いでバックコート側についた。


 この地点から攻めれば十分な時間が取れるし、デモンストレーションにはもってこいだ。桐谷の前に立ったのは相手の中でも1番背の高い3年だったが、桐谷相手ではミスマッチにしか見えないのだからおそろしい。180前半はあるのだろうけれど、それが小さく見える。


 バスケ部の顧問はピッと笛を鳴らして、ボールを真上に上げた。いや、桐谷の身長を意識して高く上げることにだけ専念したのか、少し3年側に寄っている。下手くそ、思ったが、桐谷はそのボールが頂点に達したのを見ると、恐ろしいほどの跳躍力と瞬発力で飛び上がった。そして相手の手を寄せ付けることなくボールを桜庭の方、つまり自分の背面へとタップする。相手の手は桐谷の手首にも届いていない。


 桜庭は当初の計画通りにボールを持って、ついていたディフェンスを、とりあえず振り切った。そうしてから一呼吸入れるためにバックでボールを回して、相手がきちんと守備につくのを少しだけ待ってやる。その完成が微妙な間隙に、桜庭がゴール下へ斬りこんだものだから、ボールしか見ていない初心者と、甘野老が挑発した6番が面白いようについてきた。それによってガラ空きになったスペースに桐谷が走ったのを感じてから、後ろ手にノールックでパスを出した。


 桐谷は「ナイスパス!」と言いながら踏み込んで、綺麗なボースハンドダンク(両手でのダンクシュート)を決めた。衝撃と桐谷の体重に、ギシギシとリングが軋む。3年はそれを茫然と見上げて、桐谷はそれにニヤリと笑って返した。バスケはバイオレーションや様々なファウルが多いから、相手をイライラさせた方が勝つのだ。1番性格が悪いのは誰だ、と、桜庭も、甘野老も思った。


 そこから相手の甘い頭上パスを桐谷がスティールして、やはり速攻はせずに、じっくりとパスを回して攻めた。そして甘野老がスリーポイントラインを越えてフリーになった時、同じくフリーになった渡辺を見ながら、桜庭は作戦どおり甘野老にパスをした。


 ボールを受け取った甘野老は無駄な動き一切無く、そのしなやかな身体をバネのようにして、見とれるほど美しく、ボールを放った。完璧なフォロースルーから高く上がったボールは、ゆっくりと落下し、はじめから到達点が決まっていたかのようにパッとリングにも当たらずに網を潜り抜けた。桐谷ですら、「うわ、きれー……」とつぶやいている。


 頭上パスが通らない上、甘いパスは全部スティールされるとわかった相手チームは、「8番!」と叫んで、1番初心者と見抜いた渡辺のあたりから切り崩そうとドライブしてきたが、すぐに桜庭が「チェンジ!フォロー桐谷!」と叫んで、驚いた相手が余裕なく打った、確実に外れるだろうシュートを桐谷にわざわざ叩かせた。


 桐谷はボールを叩きながら「はい、オフェンス終了ー」なんて言うものだから、本当にこの男はバスケのなんたるかを知っている。あとはボールを持った桜庭が、戻りの早かった経験者2人を、バッグ、フロント、レッグ2回、で綺麗に抜いて、なんでもないようにシュートを決めた。1人はラッキーなことにフロントからのレッグの時にアンクルブレイク(体重移動に脚がついてゆかず、転ぶこと)で尻もちをついてくれて、前半は完全に戦意を喪失した相手に38得点で無失点だった。


 5分間のハーフタイム中に、桜庭は前半ですでに息が上がっている渡辺と安達の交代と、細かい作戦指示を出した。作戦指示と言っても、相手は中の桐谷か外の甘野老、この2つの得点源どっちかに初心者のダブルチームで来るから、初心者だって思われてる渡辺がいた安達のところが多分手薄になる。経験者2人は絶対残った経験者と自分のとこにくるし、ひきつけておくから安心して、できるシュートを決めてくれ。リバウンドは桐谷が全部取るかアリウープ(空中でボールを取ってそのままダンクするプレイ)するから。というものだった。


「アリウープってなぁ……簡単に言うけどさあ……」

「できるだろ。なんなら1人アリウープもできるだろ」

「……まぁ、できるけど」

「なら問題ないな」


 桜庭は指示だけ出すと、はあ、と少し息をついた。バスケで得意だったのはパス回しとフェイクもそうだが、体調管理、というかスタミナ管理だった。今日1日で、勝ち残れば5試合をする。そして多分、この試合もそうだが、優勝候補と当たる時が1番疲労する。


 トーナメント表を見たが、教員チーム含め、全部で19チームで、教員チームがシード枠。次に当たるのはどっちが勝ったにしても1年のチームだが、その先は多分2人以上経験者がいるか、ヤバい経験者が1人と元運動部が数人いるかのどちらかだ。


 このペース、このチームで行けば、まあそこまで疲れはしないし、決勝でもスタミナ切れは起こさないだろう。スタミナお化けの桐谷や、毎日走っている甘野老と違って、桜庭だけが経験者の中でスタミナに乏しい。試合慣れもしていない。けれど、なんだか楽しい。ゲームが思い通りに進んで行く快感と、軽いミスがあってもなんなくフォローをしてくれる仲間がいるのが、どうしようもなく嬉しい。だから桜庭は会場のブーイングなんか耳に入らなくて、ただ、熱気に包まれたコートだけを見ていた。生まれてはじめて、バスケが楽しいと思えた。


「なあ甘野老ーお前、外人の助っ人は卑怯だぞーとか言われてるぞ」

「……俺は日本国籍だ。それならお前だってタッパあるからって調子に乗るな、とか、中学MVPならバスケ部入れとか言われてるな」

「桜庭はなんでか経験者のくせにポイントガードはポンコツだぞー、とか嘘4番だから騙されるなーとか言われてるな」

「俺のスリーが入るのはあいつの空間把握能力がクソ高くて、いつもフリーになってスリーポイントラインに到達した瞬間に最適なパスがくるからなんだが。あのパスは同じポイントガードだった身からしたら、頭がおかしいとしか思えない精度だ。それで波にのれる。正直、あのパスが毎回来てくれるなら、外す気がしない」

「俺のダンクが決まるのも、あーダンクいけそうだなーって時に綺麗にパスが来るんだよなー。それにちゃんと小早川と渡辺がフリーになった時もパス回すし、回したらスクリーンか、中に入るかしてフォローするし。ていうか、初っ端のアンクルブレイク見てなかったのかよ。まあ、まぐれだろうけど」

「右と思わせて左、っていうのを目線で相手に思わせてから左にフェイクかけて右抜いてってるからな。いや、ほんとあいつ何回フェイクかけるんだ。NBAの試合じゃあるまいし」

「んー?もっとかけてたぞ。腕のちょっとした動きとか、足の運びとか、上体の動きとか、俺でもあれはタイマンじゃ抜かれるわー」

「……まあ、相手の頭に血が上ってくれれば野次も何もどうでもいいがな」

「そうそう。テクニカルファウルとられなきゃ何で煽ってもいいもんなあ。俺は基本的に派手なプレイでとるけど、あんたと桜庭はもう見た目でとれるからいいよなあ」

「まあ、肌の色で言えば俺はNBAにいそうだしな」

「桜庭は綺麗な金髪だけど、染めてんだろってかんじで煽れてそう。体育着にもビブスにもフードないし、顔面偏差値どんだけだよって顔面で、珍しく声だしてマッチアップだのスクリーンだのチェンジ、フォローの指示飛ばすから1年と2年の黄色い声援全部もってってるしな!お、3年の女子も結構こっち見てる。男なら嫉妬するわなー」

「いや……それはお前もだろ……正直アジア系の見目の価値観はわからんが多分いい方で、高身長で、ジャンプどんだけだよってくらい飛ぶし、ダンクはバスケの花形だし……」

「え?俺?いやいや、俺よかあんたがスリー決めた時の方が声援大きくないか?フォーム、マジ綺麗すぎ。あと女子は近づかないだけで今でもあんたにきゃーきゃー言ってるぞ。クラスの男子全員に嫌われる勢いで。タイプ違うだけで桜庭と顔面偏差値互角だろ。桜庭もヤベー顔面偏差値なんだけど、いっつもフードかぶってて顔よく見えないから、クラスの人気的には甘野老と比べちゃそうでもないんだけどさ」

「……?」

「え……?」


 甘野老が首を傾げたあたりになって、ハーフタイム終了の笛が鳴った。


 結局、後半は中学MVPと知られた桐谷に経験者1人と、運動能力が高い初心者がダブルチームでついて、甘野老にもう1人の経験者がついた。桜庭についたのはハンズアップもまともにできていない初心者で、桜庭は、ああ、なるほど、自分が1番下に見られているのか、と、ボールを持ったら積極的にミドルレンジからでもゴールを狙い、後半の41得点のうち20得点を上げた。次いで桐谷が2本のダンク含め10点、甘野老がスリーで9点、安達がレイアップで2点獲得した。相手に許したのは、安達がマークしていたところから、まぐれのスリーを1本だけだ。桜庭がまあ、初戦はこんなものか、と思っていた時に、桐谷が応援に来ていたクラスの面々に「勝ったぞー!桜庭と甘野老もすごかったなー!小早川もやべーし安達も渡辺もちゃんと点とったぞー!」とハイタッチをしに行っていた。


 何をやっているんだろう、と思ってみていたら、「なにやってんだよ、甘野老と桜庭も来いよー」と言われ、「え、え」と戸惑うより早くその怪力でもって腕を引かれ、ハイタッチの渦に飲まれていった。桜庭はハイタッチをしながら、あれ、他人の手ってこんなにあったかいんだ、と、変なことを思った。甘野老は深々とため息をついて、片手だけでそれに応じている。やたら黄色い声援が多いのは気のせいだろうか、なんなら1年と2年の女子生徒がやたら集まっていないか、と桜庭は思った。そういえば、甘野老も桐谷も方向性はまるで違うけれど、整った見た目で、恰好いい背格好をしているしな、と、黄色い声援に納得をした。


 桜庭と甘野老と桐谷は試合後は敵情視察というか、ギャラリーで残りの全試合を見て、あーだのこーだのという話をした。他のメンバーも、桐谷がファインプレイや初心者がやりがちな凡ミスをしているプレイの解説をするから、なんとなく近くにいる。


「あーこれ、2年の4組が強いなー。4番俺の中学の先輩だわ。ポイントガードだった。ま、あの人は2軍止まりだったし、その世代ん時は俺がセンター入ってても県予選準優勝で全国行かなかったなー。うわ、パス後のスクリーン下手だなー。もっと敵の位置把握しとけよ。で、5番も経験者でバッシュかー。うわ、あれ絶対元センターだよ。タッパもあるしー。ポイントガードとセンターが揃ってると突貫チームでも強いんだよなー」

「……教員チーム、意外に強いな。用務員まで入れてるのか。職業柄スタミナかなりあるぞ。それにあの用務員、スリーがかなりの確率で決まる。あとなんでか沢田出てるな……あいつ、バスケやったことあったのか……なんか癪だな。当たったら俺が潰す」

「……潰すって……まぁ、トーナメント見たら、先に当たるのは教員チームか……。2年のとこはブロック違うし……次の1年6組に勝てばの話だが……」

「え、普通に勝つだろ、99パーで」

「まぁ、99パーセント勝つな」


 そんな二人のハイレベルな会話に、桜庭はため息しか出なかった。


「……1パーセント負けることがわかってるなら、まぁ、いいけど……」

「あーあと3年の1組が確実に決勝上がってくるな、これ。ガチなチーム組んでやがる。ミニバス含め全員経験者かめっちゃ練習してる。おとなしく受験勉強しろよなー。スクリーン使うし、まぁ連携とれてるし、チェンジたまにミスるけどまぁまぁ早いし、ゾーンディフェンス。ゾーンなのはスタミナないってこたない運動部どもだから、経験者の数にまかせて突貫チームやら初心者チームに攻略させないためかな。んー……でもまあ6番と7番はほぼ初心者に近い、かなー。ミニバスはやってるだろうけど、中学からは多分他の運動部だな。あー腕の太さ違うから、6番はテニス部でー……肩幅と胸筋だけ明らかにやべぇから7番は水泳部だな。どっちもスタミナやばそう。水泳部は今年全国行ってるからついこないだまで練習してたろうしなー。2年のヤバそうなとこと同じブロックだからちょっとラッキーだなー強いとこと強いとこでつぶし合ってくれれば儲け儲け」

「ゾーンでくるなら俺がスリー打てるし、桐谷、お前も体格と中学MVPからしてスリーがないとは言わせないぞ」

「えー……俺のは7割だからなーそれに俺が外に抜けたらインサイド緩むしー」

「……俺もスリーは一応あるけど、多分今は5割……」

「え、桜庭、5割あるなら打てばいいじゃん。あの3年チーム、平均身長低いし、俺がリバウンド取ればノープロだろ」

「2人スリーあるならカバーできなくなる。俺と桜庭が2発連続でスリー決めればゾーン崩れるかマンツーマンに切り替えるんじゃないか?」

「……いやいや、5割でしか決まらないのをあてにされても……」

「ま、打てばプレッシャーになるし、俺が動きやすい。スリーがあるって思わせればいいんだから、決めなくてもいいし。桜庭ならインサイドに切り込んでアウトサイドに持ってく鉄板プレイも、チェンジ崩しもできるだろうし、そんで誰かフリーで入ればパス通せるだろ。小早川も空いたスペースに入るくらいは簡単にこなしてたし」

「……で、こっちのディフェンスはどうするんだ。マンツーマンしかない。ゾーンはリスクの方が高い」

「マンツーマンで問題ないだろう。俺と甘野老と桐谷で強い奴3人、抑えられる。そんなにハイレベルじゃない。タッパも1番高いやつで180前半、甘野老くらいの奴が1人、あとは俺より低いから、普通にそこでマッチアップすればいい。センター対決なら、まぁ桐谷が勝つし、シューティングガードも、スリー打てるだけで、脚止まりがちだな……。あと見る限りだと、ポイントガードがあんまりいい選手じゃない。初手からしてパス回しが甘いし、バウンドでいくべきなのをスティールされる確率が高いチェストで回したとこが1回あった。その上味方のシュートフォームに気を配れてないし、背中に目もついてない。だからパスからシュートまでに微妙な時間がかかるし、クイックパスが出ないから一瞬でもフリーの選手にパスが回らないんだ」


 桜庭が容赦なく相手のポイントガードの欠点を上げていくと、先ほどまでマシンガントークをしていた二人が静かになった。


「……ん?なんだ?」

「いやー……え?桜庭って俺らのシュートフォーム全部把握してんの?」

「……当たり前だろ。シュートフォームというか、スリー、ミドル、ショート、レイアップ……あとはシュートじゃないがドライブに行きたいタイミングくらいなら見分けがつく。初心者の安達と渡辺にはここに行けばやりやすいって位置に出すけど、小早川くらいになると大体固定のフォームだからいつもフォームに入りやすい位置にタイミング合わせてパスを出しているつもりだが」

「……お前、背中に目がついてるのか?」

「目……というか、いや、もちろん物理的についてるわけじゃない。でも、わかるだろ、普通。味方ならどこにいるとか、相手選手でもチェンジしたな、とか、あースクリーン狙ってるなーとか、気配で。なんかこう、こう動いたんならこう動くだろ、とかそういうので。そうやって背中に目をつけて、まあ大げさに言ったらコート上の動くもの全部把握するのがポイントガードだろ」


 桐谷はこそこそと甘野老に「なあ、俺的にあのポイントガードが1番脚あるし、タイミングズレててもスクリーン行く頭あるから厄介だと思ってたんだけど、どう?」と尋ねた。


「俺も同意見だ。俺と同じタイプでスリーもあるから厄介だな、と。身長的にマッチアップが俺だからどうにか……いや、まあ大丈夫だろとは思っていたが」

「うん、それは俺も同意見。でさぁ、たしかにさあ、桜庭の空間把握能力はすげえって思ってたし、パスもめちゃくちゃ取りやすいんだよ。あーここにくれば最高だなーって位置にドンピシャでくるからさあ。いや、まぐれか調子いいかなんだろうなあって思ってたけど、あれ狙ってやってるの、すげーヤバい選手だと思うわけよ、俺は。しかも一瞬でもフリーになればパス通せるの?たしかにクイックめっちゃ出すなあすげーなあって思ってたけど……。あれでなんで4番じゃなかったわけ?」

「……色々あったらしい。……1回だけ1on1やって、同レベルの選手だと思っていたが、ポイントガードとしてはあいつの方が数段上にいるな。いや、あいつ、天才だろう……お前もだが……」

「あー……俺は天才に近い凡人だから。タッパあっての天才?的な?甘野老もドライブ早いし、抜けるし、中学レベルならタッパあるし、まぁ高校でも普通だし、スリー外さないし、スクリーンってか、敵使ってフリーになるのうまいし、シューティングガードなら天才レベルだろ。なんでポイントガードだったわけ?いや、ポイントガードだったとしてもあの中学でなら普通4番だろ」

「……それもまぁ、色々あって。……あとタッパも含めて天才だろ……実際もってるもんなんだから……」


 ふたりがこそこそ話し出すものだから、桜庭は少し黙って試合を見ていたのだけれど、それが長引いてきたので、「おい、なんの話をしているんだ」と、声をかけた。そうしたら2人して「あー……いや、なんでもない」とだけ返してきたので、桜庭は「そうか」とだけ返して、頭の中で戦略をいくつか立て始めた。


 中学の時はシュートを決めると監督に「調子に乗るな。無理なプレイを通すな」と言われるものだから、ただ淡々とフリーになった選手にパスを出していただけだったけれど、今は違う。球技大会ではあるが、ちゃんとしたバスケをしている。自分も駒に入れて、考えながらポイントガードをするのは、とても、楽しい。ゲームメイキングは性に合っている。


 2回戦は1年のチームとだったので、体力温存のために小早川を引っ込めて少し手を抜いたが、36対6で快勝した。チーム数が教員チーム含めて19チームと微妙な数字なので、桜庭たちがいるブロックは反対側のブロックと比べて決勝までの試合数が1試合多い。3回戦では2年のチームと当たったが、これも快勝した。そして迎えた4回戦が、教員チームだった。事実上の準決勝だ。


「いいか、5番のスリーに注意だ。9割決めてくる。でも今まで当たってたのが弱小ばっかだから波に乗りやすかったのかもしれない。マッチアップはポジション的に俺がする。少しミスマッチになるが、フリーにさせないのなら得意だからな。プレッシャーかけて、できれば調子狂わせる。で、意外に点を稼いでるのは沢田先生だ。特にミドルと微妙なショートレンジ注意。マッチアップは甘野老。……まぁ、思う存分やってくれ。ファウルとられない程度に……。あとはスタミナある若い方の用務員さんに桐谷ついてくれ。1番タッパあるし、インサイドで1番活躍してる。相手の弱点はそれぞれが個人技頼みで、スクリーンみたいな連携プレーがないこと。それから用務員さん以外は運動不足もいいとこでスタミナないこと。マンツーマンで主力全員抑えられればディフェンスは問題ないし、オフェンスは中も外もある。今まで通りやれば問題ない」


 桜庭が作戦を指示し終わったあたりに、主審の笛が鳴った。ティップオフは勿論桐谷で、簡単にマイボールにした。桜庭が今度はフロントコートでボールを受け取り、面倒くさい策略は抜きにして、持ち前の俊足とフェイクでフロントにいた2人を抜き、そのままレイアップで得点した。そうして「ディフェンス!」と声を上げながら戻り、スリーポイントラインあたりで「マッチアップ!5番!」と声を上げた。そうしたらにやりと笑う甘野老が「7番」、桐谷が「4番!」と続ける。それが全部終わってから、桜庭は楽しそうに「ハンズアップ!」と声を出した。


 教員チームとの試合は、今までと比べたらそれなりに競ったと言えば競った。桜庭が持ち前の空間把握能力でパスカット、もしくはスティールを連発し、5番のスリーを完封して、インサイド主体の攻撃に転じさせた。大人なだけあってインサイドもそれなりに強いがしかし、リバウンドは跳ねる位置が悪くなければ桐谷がほぼ取ったし、沢田に関しては甘野老が試合序盤からフェイストゥフェイスでにやにやしながら張り付き、ボールに触らせもしない。渡辺のあたりが若干緩いので、そこから前後半で10点ほど点をやったが、最終的に62点取って、圧勝した。


 オフェンス時は沢田が怒って甘野老についたのだけれど、綺麗にかわされるか味方ディフェンスにぶつけられて、甘野老のスリーが決まること決まること。さらにはドライブでも切り込んで、甘野老はインサイドでも活躍した。そうしたら甘野老はなんと1人で38点も取っていて、なんなら沢田から4回ファウルをもぎ取った。


 3つはパーソナルファウルで、勿論そうなるように仕向けたり、わかりにくいが接触していないのに演技で大げさに倒れてみたりして、だ。4ファウル目は、接触がないのに演技で倒れたことやフェイストゥフェイスディフェンス、甘野老にオフェンスで点を稼がれまくってイライラした沢田が審判に抗議したことによるテクニカルファウルだった。桜庭と桐谷は、少し笑いそうになるのをこらえながら、「あいつ、相当性格悪いな」、「そうだな」とひそひそ笑った。


 そして迎えた決勝は、やはり3年1組とだった。向こうもこのチームは強い、とわかっているらしく、油断は見えない。1年だからと高を括ってくれればまだ楽だったのだけれど、と、桜庭はため息をついた。スタミナは充分に残っている。教員戦が甘野老の独壇場だったこともあり、想定していたよりずっと体力が残っていた。念のために甘野老に「スタミナ」とだけ声をかけたが、「あと5試合やれる」と返ってきた。


 試合開始は勿論こちらのボールで、相手のディフェンスは予想通りボックスワンだった。甘野老に1人張り付いて、他はゾーンのかたちをしている。桜庭はスリーポイントラインの手前で、パスをする素振りを入れてから、ふっと沈み、腕力が衰えたぶん脚で力を溜めて、身体全体を使うこと、そしてボールは高く、そしてフォロースルーが崩れないように、と、意識を研ぎ澄まし、丁寧にボールを放った。果たしてボールはリングにぶつかりながらも網をくぐり、桜庭はシュートを打ち終わってすぐセーフティー(相手の速攻を防止するプレイヤー)の位置についていたのだが、「ラッキー」と言うのを我慢して、「ディフェンス!」と、センターラインを割りながら叫んだ。これくらい当たり前だ、という顔をして。けれど相手の立ち直りも勿論早い。マッチアップ点呼ははじめて走りながらになった。


 勝負は競りに競るかと思われたが、個々人の能力が3対2で桜庭たちのチームの方がかなり高かったこと、そして桜庭の精密すぎるパス回し、さらにはスリーの調子も良かったことがあり、63対38で桜庭たちのチームが優勝をした。桜庭のスリーが2回連続で決まったことで相手がマンツーマンにディフェンスを切り替え、いつものかたちで攻めることができた。アウトサイドではスリーを決める甘野老が得意の敵をぶつける1人スクリーンプレイから中でも外でも得点をした。インサイドは誰でもミスマッチにしてしまう桐谷がディフェンス、オフェンスともに活躍し、インサイド中心と見せかけたあたりで、フリーにした渡辺や小早川に、比較的決めやすい角度のフリースローラインに桜庭がパスを通した。そのおかげで初心者メンバーもそれなりに得点を重ね、相手ディフェンスは混乱に混乱を重ねた。


 最後は甘野老のスリーラインからのポンプフェイクを入れた桜庭へのノールックパス、カットインしていた桜庭の桐谷へのノールックパスと繋ぎ、敵が総崩れになったところにフリーの桐谷が「じゃ、最後にすげーのやっから、さ!」と、1回戦で冗談交じりに言っていたレーンアップを炸裂させた。味方でも茫然とするダンクに、決勝戦だからとかなり集まっていた外野が沸き上がり、1年2年3年と構わず桐谷に拍手喝采を送った。


 高校1年生にはハイレベルすぎるダンクだ。桜庭は「天才ってのは、ああいう奴のことを言うんだろうなあ」と甘野老に言ったら、「……まぁ、それもそうなんだけどな」と妙な返事をされた。そうして、ディフェンス途中で試合終了のブザーが鳴り、整列する間もなく、コートには雪崩のように人が集まって、桐谷を称え、甘野老を称え、ついでに桜庭も称えた。他のチームメイトももみくちゃにされている。桜庭はその中で、笑いながら、やっとの思いで、甘野老とハイタッチをした。パンッと綺麗な音がして、それが、群衆の声に掻き消されないほど、桜庭の耳には心地よく響いた。



 球技大会2日目の終わりに、各競技の優勝クラスそれぞれに表彰があった。そしてそれぞれの競技、ただしドッジボールを除いた競技のMVPの発表も。MVPは基本的にその部の顧問と審判をした部員の投票で決めるらしい。バレーでは優勝チームの1年生が1人、野球とサッカーは2年生が1人ずつと3年生が1人ずつMVPに選ばれて、桜庭は「MVPって1人じゃないんだなあ」だとか、たしか「most valuable player」の略だよなあなんてことを考えながら、それぞれが選考された理由をへー、と思いながら聞いていた。


「最後にバスケットボールの部。まずは1年1組、桐谷結城」


 桐谷の名前が呼ばれた瞬間に、わかっていたとはいえ、全員があのダンクを思い出して沸き上がった。そして、それが鎮まったのを見て、バスケ部の顧問がゴホンと咳払いをする。桜庭も、「まずは」という枕詞からして、甘野老がくるだろうな、と少しドキドキした。


「そして同じく1年1組、ラファエル甘野老託人」


 これもまた1年をメインに会場が沸き立つ。黄色い声援が多い気がするのはやはり気のせいじゃなかった、と桜庭は思った。そして桐谷が選ばれた理由は、大体、もはやプレイ自体が天才的に上手いのと、ダンクの成功率、他にも完璧なスクリーンアウトからのリバウンド数、インサイドでの完璧な仕事、そして勿論最後のあのダンクだろう。


 甘野老にしたってそうだ。中でも外でも得点を重ね、守備ではマークした相手からはまず得点を許していない。最も得点したのは甘野老だろうし、リバウンドだって桐谷の次に取っているはずだ。一度レイアップフォームで飛んでディフェンスを引き付けてからの無理なシュートと見せかけたフックパスという神業もやってのけている。桜庭は滔々とそんなことを思っていた。だから、反応が遅れた。


「最後に、私としては1番の勲章を授けたい、ミカエル桜庭春人」


 最後の名前には、声援もあったが、「えっ」という疑念の声も多かった。桜庭自身も、「え、俺?」ときょとんとした顔をしている。というか、MVPが3人もいていいものなのだろうか。


「桐谷君に関しては、もう言うことがないだろう。卓越した身体能力を遺憾なく発揮し、チームのムードメイカーとなり、オフェンス、ディフェンスともに活躍を見せた。甘野老君については、スリーポイントシュートでの得点率もそうだが、インサイドでもパワフルに動き、パスの中継役も果たす、素晴らしいシューティングガードだった。そして、この2人をMVP選手たらしめた存在、みなさんがバスケットボールに詳しければ、実際にプレイした経験が豊富であればきっと選ぶだろう、私が本当に1番を捧げたい選手が、桜庭君だ。まず、彼のフェイクに何人のプレイヤーが騙されただろう。何重にも重なった嘘に塗り固められた本当を見つけ出すのは、うちのバスケ部のスタメンでも困難だ。さらに彼のパスは精密で、選手1人1人のポテンシャルを最大限に発揮させる。パスからシュートに無駄な動きがなかったのは、一重に彼のパスが的確すぎるからだ。そして、桜庭君の最たる能力は背中に目を持っていること。敵味方の動きを瞬時にすべて把握し、その上で状況を一瞬で判断、さらに最適解をも一瞬で見つけ出す。それによってチームの2本柱だけでなく、その2人がいるからこそ埋もれてしまうだろう他のチームメイトをも輝かせた。そしてメンタル面でも彼は素晴らしいものを持っている。MVPの3人だけで回しても、たしかにこのチームは勝てたかもしれない。けれど、彼はそうしなかった。チームメイトをきちんと認め、平等にチャンスを与え、勝利を6人のものとした。このチームのキャプテンらしく、そして、最高峰のポイントガードを勤め上げた。よって、私はこの3人にMVPの称号を与えたい」


 バスケ部顧問の解説が終わると、3人に割れんばかりの拍手が送られた。特にクラスメイトやほかの1年からだ。桜庭は恥ずかしくて、前髪をくしゃくしゃにして、でも、ちょっとだけ、笑った。


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キミシダイロケット 草壁 利人 @kusakaberihito

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