白いシャツ

あなたが行ってしまったことが

あたしにはまだわからない

あんなに近かったあたしたちが

いつの間にか

遠く離れてしまった


あの頃はあたしたち

どんなに忙しくても

週に一度は必ず会ってた

あなたの通り道に

あたしが自転車とめて

あたしの部屋の窓の下

あなたの白いTシャツ


だけどすれ違いが訪れたのなぜ

いつしか時間が空回りしたのはなぜ

あたしたちふたりだけのあいだに


あたしたちがあんなに探してた

はっきりとしたつながりが

気がつくと

すぐそばにあったこと

とても悲しい


あたしたちもっと背伸びすればよかった

あたしたちもっと見つめあえばよかった

あなたの唇がなにをいいたかったか

ハッキリわからなかったけど

あたしがどんなにその瞳

想っていたかは いえたはず


あなたが行ってしまったことが

あたしにはまだわからない

あんなに近かったあたしたちが

いつの間にか

遠く離れてしまった


さよなら

あなたを思ってなかった

そんなふりをするのは簡単

でもそれは悲しすぎる


さよなら

あなたを忘れた

そんなふりをすることはできる

でもそれは苦しすぎる

あたしが悲しすぎる


さよなら

戻ってきてと伝えたい

ずっと待ってると伝えたい

いつかあたしの部屋の窓の下

白いシャツ姿で通り過ぎて


あたしはきっと

さよなら

言わないから



A 彼へ



s900516

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

第2章詩はこころのおやつだったりくすりだったり 海乃もくず @uminomokuzuroompart2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る