きまぐれでタクシー運転手になってみた話
あきら・ド・クリエ
第1回 応募するまでの経緯
2015年1月、それまで11年ほど勤務していた会社を退職した。当時の年収は830万円だったので、世の平均よりはずいぶんと良かったかもしれないが、後悔しても後の祭りだ。まあ、いろいろなことがあったのだが、今さら話す気も起きない。その時に同業他社へ転職できるはずで、話は順調に進んでいたのだが、その後の春先になって話が白紙になってしまい、十数年振りに完全無職の身になってしまった。
その後の1年間で計200以上もの企業求人へ応募するも、見事に玉砕し尽くした。派遣やバイトなんてやってられるかという気持ちで、働きもせずに1年半ほどキャッシングで借金しまくって生活していたが、2016年の春先には、とうとう金を借りるあてが何もなくなってしまい、20年以上の付き合いだった愛車も売却することになり、しぶしぶ派遣会社へ登録して、日雇いのバイトを始めることになった。
月の支払いが足りなくて、親に金を借りに行った。そして、数か月が経過した頃のこと、コールセンターで欠員が出たとの話があって、2016年10月から翌年の5月まで勤務した。手取りが23~27万円ほどで、キャッシングで借りた250万円近くの返済と、マンションの毎月のローン、光熱費やら生活費でかかる合計約30万円には毎月届かなかった。ヤフオクで私財を売却してギリギリの生活をしていた。
このままじゃダメだ、恥も外聞もない!誰かにすがろうと思い立ち、2017年の春先に昔の同僚にコンタクトしたら、私に任せたい仕事があるとのこと。5月で派遣の仕事を辞めることにしたが、いざ5月になったら、その元同僚はビジネスから手を引いたとか言われて、またまた話が白紙になった。
もう終わりだと観念した。私にとって最後の砦でもある新築のマンションを売りに出した。すぐに誰かが飛びついて買うだろうと安易に構えていたら、なかなか売れない。毎月の支払いが足りなくなった。また親元へ金を借りに行った。すぐにでも毎月30万円を稼がないといけない。転職フェアでタクシー会社の説明を聞いたことがあったのもあり、それまで無視していたタクシー運転手の求人へと、とうとうコンタクトしてしまった。
きまぐれでタクシー運転手になってみた話 あきら・ド・クリエ @akku001ak
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