第13話心のオアシス

それからというもの、私は体調不良ということで学校にも行けず、もちろん残り少ないバイトも辞めてしまった。

悟との事は家族や友達にも言えないし、悟られるのも嫌だったので家ではいつも通り過ごしたつもりだが、両親は何も言わないだけで何かがあったことは察していたに違いない。


充は、毎日電話を掛けてき、家まで来る事もあったが一切対応しなかった。

痺れを切らし私の部屋に向かって

「温子ぉー!!」と叫ぶ始末で

さすがに近所迷惑だからと私の母に叱られていた。


12月も終わりに近付いた頃バイト帰りの美穂ちゃんと隆哉が家に来た。

「あっちゃん突然バイト辞めちゃうし、体調不良って聞いたけど大丈夫なの?」

「うん!大丈夫だよ。」極力明るく答えた。

「電話しても元気なかったし、無茶苦茶心配したよ〜・・・」

「うん。あの時は調子悪かったから・・・ゴメンね、心配かけて。」

「あっちゃん突然来なくなって、他のみんなもすごく心配してたよ。」

「バイト、フェードアウトみたいになっちゃったもんね・・・」

「だよね。体調不良って言ってるけど、ホントは何かあったんじゃないのかな?って隆哉くんと話してて・・・」

「イヤ、ホントに体調不良だよ・・・」

「ならいい・・・って言うのも変だけど、なら良かった。」

お互いに顔を見合わせて笑った。

「あっちゃんと全く連絡取れないって言って充くんはイライラだしさー」

「あ〜。」

「しかも、昨日、充くんと悟くんが殴り合いの喧嘩したみたいで、悟くんは鼻の骨折るし、充くんはそれで家族とも喧嘩になって、家飛び出して今隆哉くんの家に転がり込んでるらしいよ〜」

「そ・・・そうなんだ・・・」


嫌な汗が背筋に滲んだ。

嫌な予感しかしなかった・・・


「で、喧嘩の原因とかってよっしー聞いてる?」

「イヤ・・・いつもの兄弟喧嘩だとしか」

「そっか。」

「悟くんの態度が悪かったからやり過ぎた。って本人は言ってた。」

「あの兄弟、体格いいから殴り合いになると凄そうだもんね〜」と、美穂ちゃんは身震いする真似をした。

「みっちゃんが家で待ってるんだったら、よっしー早く帰らないとね。」

「ん。」

「二人とも今日はありがとう。二人の顔見れて元気出たよ。」


張り裂けそうだった心が二人のおかげで少し癒された気がした。

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