第12話忘れたいヨル

隆哉が入院中、悟くんがバイト終わりに

私の天敵 ‘物理’を見てくれると言い出した。

私は時期も時期だしと遠慮したんだけど

自分の復習にもなるからと言うので

好意に甘え苦手な分野を中心に教えてもらうことにした。


悟くんとの勉強会はいつも充の留守の日に

バイト終わりの店内で行われた。

今日も充はコンパでいない。


「あっちゃん、バイトあと少しだよな」

「そだねー。」

「慎も美穂ちゃんも寂しがってたよ。」

「それは私も一緒。寂しい・・・」

少し微妙な空気が流れたあと、悟がたずねる

「兄貴と別れんの?」

「まぁ・・・ていうか、いくら言っても別れてくれないから逃げる?って感じかな?」

「逃げるんだ。あっちゃんらしくなくない?」

「さすがに闘うの疲れたわ」

苦笑いが漏れる。

「兄貴も自分は好き勝手やって何考えてんだろ?」

「私から別れ話されるのが癪に障るんじゃない?プライド?」

「あっちゃんいい女だしなぁー。」

「いい女なんかじゃないよ。特に、みっちゃんと居る時はねー。」

「そなの?」

「だねー。私、周りからは喜怒哀楽の[怒]がないって言われるくらい温厚だと自分でも思うのね?」

「確かに、あっちゃん怒ってるイメージないわ。」

「でしょ?でも、みっちゃんと居ると滅茶苦茶沸点低くなってイライラして喧嘩して・・・・・・みっちゃんと居る時の自分が嫌いで嫌いで仕方ない。もう限界超えてるのに離れさせてくれなくて・・・どうする事も出来なくて・・・みっちゃんは別れる事に納得してないから逃げても一緒かもしれないけど、少しでも離れたくて・・・」

一気に捲したてた・・・涙が溢れそうになるのをぐっとこらえた。


気付けば悟くんは横に座っていた。

「ん?どうしたの?大丈夫だよ。勉強に戻ろ・・・」

そう言いかけた瞬間、

悟くんは私に覆いかぶさってきた、、、

「ちょ、やめて!!」

必死で抵抗したけど力では適わない・・・

口を手で塞がれ下着を剥がされ

下着を口に捩じ込まれて声も出せない

両手を拘束され身動きが取れない

悟くんの荒い息遣いが耳元に響く。

声にならない声。

涙がとめどなく溢れる。


事が終わり拘束が解かれた瞬間

私は取るものも取りあえずその場を飛び出した・・・


悔しくて、悲しくて、やるせない気持ち・・・

言い様のない感情に押し潰されそうだった


どうやって帰ったのか・・・

気付けば自分のベッドで身体の水分が全てなくなってしまうくらい泣いていた。







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