第11話隆哉とのジカン

12月に入り、受験勉強も佳境に入った頃、

隆哉が体調を崩し入院したからしばらくバイトに来れないとの連絡が入った。


-大丈夫かな?


私は充とのいざこざもあり、とにかく離れたい一心でバイトを辞める事にしたんだが、経営者サイドから、すぐに辞められると困るからと言われた為、今月いっぱいまでバイトを辞める事ができないでいた。

充から逃れるために何を言われても強引に辞めるという強行手段をとることもできたんだろうが、

こればっかりは変に真面目で、変に責任感の強い自分の性格が災いした。


-立つ鳥跡を濁さず


そう思って頑張ってきた。

バイト仲間(従業員組合)のみんなが居たから頑張ってこれた。

何より隆哉の存在は私の中で膨らんでいた。

隆哉と少しでも一緒に居たかった。


-明日学校帰りにお見舞いに行ってみよう



翌日、オシャレな隆哉にファッション誌を買い病院へ行った。


-コンコン

「はい」

「失礼しま〜す」

「どうした?」

「それはこっちのセリフだよ。よっしー身体大丈夫?」

「ああ。昨日のこと思えば楽になった。」

「そっかーよかった。私も中学生の頃入院した経験があって、しんどさのピーク越えたあと暇で暇でさー。だからコレ。」

と、雑誌を手渡す。

「これは助かる。俺も持て余しててお袋に雑誌でも頼もうかと思ってたところ。」

「よかった。」

「それより、勉強見てやれなくなって悪いな。」

「そんな事、気にしなくていいよー。今まで充分みてもらってホント感謝してる。今は自分の身体の事だけ考えてて。」

「おぅ。サンキュ。」


2週間の入院中、私は毎日隆哉を見舞った。

ファッション誌、パズル系の雑誌、パズルのおもちゃ等貢物を口実に・・・


隆哉の顔を見る為に。





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