カノジョは、ボクの天使

第5話 お人形ごっこ

｢今日も可愛いね、ミル姫｣

当然だわ。

｢はぁぁ、なんて綺麗なんだ。ずっと見てられる｣

私はお人形だもの。綺麗でなければいけないの。

｢ミル姫、ミル姫…僕ミル姫に渡したいものがっ！｣

美しいものだけでいいわ。字だけの紙には興味ない。

｢ミル姫！｣

｢ミル姫！｣

そうよ、それでいいの。

もっと私を愛でなさい。もっと私を渇望しなさい。もっと私で狂いなさい。

もっと、もっと、もっと、私を必要としなさい。

美しいだけで世界は成り立つ。

美しくなければ価値などないの。

あの子よりも、美しくならなければいけないの。

大きな目、長い睫毛、通った鼻筋、優しい口元。全部私と大違い。

あぁ、なんて神様は残酷なの。誰よりも美しくならなければいけないのに。誰よりも、あの子よりも、もっともっともっともっと────……

私を愛して。