作中の「女人」と「弟君」、二人を襲った一連の出来事は、『万葉集』中でも特に印象に残っていました。
この物語を読んで、より切なさを感じました。
「斎宮」という点で交わる「現在」と過去。
交わることで語られる、陰謀の中で散った「弟君」と、それを失った「女人」の無念。
それが精巧に丁寧に描かれています。
「後書き」に綴られた解説も分かり易く、物語をより一層趣深いものにしてくれるでしょう。
元号「令和」から来る『万葉集』ブームの今、ぜひ読んでいただきたい話です。
私も『伊勢物語』に手を出そうと思います。
素敵な物語をありがとうございました!
余談ではありますが、陰謀の下に散る、と聞くと、有間皇子も思い出します。彼もなかなかな最期を迎えています。よろしければ……。