“慶び永らえ”、禱りは届かずとも

気鋭の作家、冬春夏秋の新作は——大正浪漫?
驚かれた人も多いのではないのだろうか。なにせ彼の代表作「強盗童話」は洋画の雰囲気を纏った犯罪童話活劇だ。趣が真反対である。
原作者である私がこうして言及し最大の評価を贈るということをあまり良く思わない方々もいるかもしれない。しかし頁を捲ってみれば、私の喜びに共感してくれると確信している。
その筆致はまさしく抜き身の刀。翳を知らず、読み手の頸をざくりと落とす。そのまま心の臓まで奪われることであろう。