うつくしきもの
『美』とは何か。
――思うに。それは価値観の最上位なのではないか。一生を
最も美しいモノの
/
――あの絶望を、覚えている。
するべきことは変わらない。目的の為に自身を
それから何年経ったか。
日々の
それから、それから、それから、それから、■■■■、■■■■、■■■■■■■■■■―――――――――――
――かくて〈魔人〉は産声を上げた。生来の
/
斬り結ぶ。
熱し、重ね、
「……日本刀のようなお方ですね、貴方は」
自分が何の為に存在するかを理解していて、それを行う為に存在している。
それが眩しい。それが美しい。確信する。求め続けた『解』が、この男に在る――!
周囲は夜を埋め尽くす霊魔の闇。波濤の
「……読めたか、〈
梶井の声に応えず、椿は鞘に納まる大刀へと声を投げた。
(応。
「言ってろ。……で〈
(全部。わたしの残り一尺と半分。)
なら縮みはしても伸びはしねェか、と椿はその冷徹で眼前の〈魔人〉を定めた。
梶井浩助。【霊境崩壊】以前に
その右手、中指と薬指の間から〈薄氷〉が
問題はそこではない。別に椿からしてみれば――梶井をして完成とされるその本質――相手が生きていようが死んでいようが、〈魔〉であるのなら
問題は。
「ああそうだ! 気に入っていただけましたか? あのお土産」
「あン?」
一門の報告によれば、この男は霊魔の首を持って現れたらしい。その首も、途中で霧散したとの話だ。百鬼
「あれ? おかしいな……気の緩んだ頃に、綺麗に咲くように斬ったつもりだったんですが」
――それが、梓の最期のことを言っていて。緊張と共に繋ぎとめていた
「あはッ!
「無ェよンなもん」
それでも椿は動じなかった。
シィン、と二振りの〈薄氷〉の刃がかち上がる。
この男の真実は問題ではない。その精神性も問題ではない。だから問題は。
(人を殺すことに長けてやがる。)
知れ渡った剣術ではない。おそらくは我流。だが理がある。刀を用いてどうすれば人を斬り殺せるかを熟知している。
――柄と鞘が無い以上、そう握るしかないのは判るが。
まるで弓を
ぎちり、と万力で締め付けるような
「―――――ッッ!?」
「……お美事!」
型からその軌道を予測し、間に一本の髪を入れるが如き
(敗北の経験が活きたな、万年三位よ。)
「っ、
囲流『
「……クソ
その
〈魔人〉の技と合わさったその切れ味は、血が出たのを確認してから痛みを認識する程に鮮やかだった。
――
「……まったく、随分な刀と契約しちまったもんだぜ」
カチ、カチ、カチと。
強がるように叩いた軽口とは裏腹に、百鬼の最高傑作は相対する〈魔〉を殺す算段を、それのみが存在する理由の
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