来たりて討ち取れ
境界線上に
まるで、大雨に荒れた大河にぽつりと置かれる
「次。三番」
鳴りやまない
「〈
炸裂する。霊魔の波は
「下がって良し。二番備え。一番、出るぞ」
洲の名は
中心は先刻、
その総数三十六本。凡てが八百年間――六十三代に渡って継がれた
放ち、下がり、備える。無限に返しては寄せる海に対して、瞬間瞬間を
「〈
『
「〈せつ〉」「〈
通算不明。元より数えてなどいない、繰り返される致命の
「「「おぉッッッ!!」」」
――
「一番下がって良し。次、二番……さて」
「椿様?」
分隊が入れ替わる。当主、六十三代目の椿は前に立った
「濃度が上がったな。デカいのが来るぞ。二番、一刀で
言葉の通りに、
「
「長い付き合いですが椿様に絵心があったとは知りませんでした」
「ハッ。あってたまるかンなもん」
住宅一棟より尚
〈雪〉を鞘に納めながら軽口を叩く椿の後ろで、二人がかりで握られた
「
「応」
「「〈
月の
瓦解する。真っ黒な雪が崩れるような瘴気の崩壊。駄目押しとばかりに椿が踏み込み、
「――〈
ぱしん、と。平手打ちのような渇いた音と共に、
一陣の風の後、視界が晴れた。抜き打ち、納刀した〈兵太夫〉を後ろに放り、椿は煙草を取り出そうとし、その手で
『つばきっ!』
消し飛んだ瘴気の向こう側から現れた存在に、同調した〈
耳鳴りに似た、長く伸びる
「わあ!」
鮮やかすぎる一刀。防いでみせたものの、〈薄氷〉の声が無ければそこで終わっていた。
押し退ける。そして椿も一歩下がる。
「続けてろ。おれの獲物だ」
一門がその令に、各々の仕事を
洲に、ひとつの綻びが生まれた。ならばそれを埋めようと、霊魔の大群はそこに割って入ろうとし――
「邪魔ぁ……しないでくれますかァッ!?」
祓われた。あまりに
初めての
――確信があった。
「貴方が――
名乗り合わずとも、そうなのだと。
――確信があった。
「オマエが――
これが、相対する
……男は、
だから。その不条理を――黒羊を殺す存在は、昔から
――〈魔人〉と〈鬼〉。ふたりのひとでなしは今夜出会い、別れる。
「
「見えやしねェだろ、そんな
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