夜を駆ける
――それは、大地に
「……ッ、う」
一歩目で全身を震わすその異物感。この場所がこの世ではないという実感。砂のような空気。濃密な瘴気。
「ッッ〈
それを。
「
二歩目と共に振るった刃の煌めきが全否定する。
違う!
眼前――その男の三歩目を
「総員、特攻! 目指すは深山大霊脈ただひとつ……ただひとつだ!」
その号令に、深山全域から発生し
直下で聞く花火の
――
振るい続けた年月と想いが、折れて
同じ動きだと言われた。実際そのように証明できてきた
違う。
呼吸。視線。筋肉の起こり。霊力の発動。連動する身体。先頭を誰にも譲らず、立ち塞がる霊魔を斬る。止まらない。開いた戦端。抜かれてから一度も鞘に納まっていない〈凪風〉の神気はその
離れずに駆ける。同じように斬り伏せる。それでいて近づけない。朝霞神鷹は完全復活を遂げてなどいない。一歩一歩が死に向かっている。でも、止められない。
――あまりにも鮮烈で美しく。そして遠い。
なのに
号令を下す時に、その方向を見なかった。北の空。もう一つの戦場。
この深山と地続きの
一夜
(あぁ、だから。)
『ただひとつだ』
一刻も早く。
――心と体。その間に
それらの追想は走馬灯のように一瞬だったか、それとも現実よりも遅かったか。
変り果てようとも
その、
「往こう」
「はい」
坂道を上り、階段を上がり、堕ちて尚も帝都にその
「――朝霞家当主、神鷹。参りました」
――招いた客を受け入れるように、その
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