迫間と百鬼と鬼と鬼
『――そっかあ。じゃあ、アタシとおんなじだね』
『成れたらの話だろ』
/
花守とは、
覆らない前提として、彼らは
八百年間この地に根付いた
代わりに持たされた怪異狩り以外の表の顔が、とどのつまりこの
迫間の獄卒はそうして
/
「とまァ、
――半年も経っているのに、埃の積りさえない廊下。それは、手入れをしている誰かが在り続けているからで。
けれども、この迫間区で生きている者はもはや外から来た
だから〈
だから
「あ、あの椿様。……それで、ここに、何が?」
控えめに問う
「ただの勘っつーかなんつーか。あの日は
――お宝の眠る蔵の前に、最後の障害が立ちふさがるところまで、似ている。
「っ、百鬼様……!」
最後の衾の前には鬼がいた。百鬼家の
「ハッ」
椿は笑う。
「
『■■■■■■――!』
咆哮に乗る、生への悪意と殺意。
並の者なら、聞くだけで心を折られ、ただ肉塊になる自分を待つだけの圧に。
「
二刀を抜く椿の号が踏み込みと共に放たれた。意図を解したふたりが瞬時に動く。
――並などこの場には、一人とて居ない。
鬼が野太刀を振りかぶる。椿の
『■■ッッ!』
小賢しいとばかりに鬼が無手の左で畳を弾く。右の野太刀が落ちる。ひゅ、という呼気。切断ではなく圧壊。上等な床ごと人体を粉砕する鬼の一撃はしかし、
轟音と共に打ち込みきったにも関わらず、たったひとりの
目を見張る一瞬。防がれた一合。
すぱん、と同時に鳴った空を切り裂く音。
『……!?』
巨体が沈む。倒れまいと左手を付く。鬼は、自身を構成する瘴気、その脚の部分を
「〈
今や
/
合わせた一刀の結末を振り返った律と杏李は、首を落とされて消える鬼と、その過程で発散される瘴気を浴びながらも息一つ乱さない椿の姿に、もう何度目かの恐れを抱いた。
どの花守よりも、瘴気への耐性があるとされる百鬼家。その長。
初めて踏み入ったこの迫間の
――では、貴方の瞳にはいま、この迫間はどう映っているのですか。
問いかけた口が、二刀を納める鍔鳴りに
椿が最後の衾を開ける。
果たしてその奥には、
「
――とても、とても
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