LOOP THE LOOP!!! - ④

★何LOOP目……?



何回目だろうか。

何度やっても結果は一緒だった。

避けようがない。


いろいろ試したさ。

例えば俺がバス停に行かなくても午後三時には時が戻ってしまう。

二人きりになれば、だいたい同じ展開でパーだ。


俺は解決方法がわからないまま、何度目かもわからないバス停に来ていた。

二時五十五分。


どうすればいい?

俺は小葉瑠と――どうなればいい?


「――ねえ、聞いてる?」

何の話だったか。

「ああ、聞いてるとも」

嘘をついた。



つまりね、と小葉瑠は切り出した。

「私はね、ずっと昔から好きだったんだ。友くんのこと。でも言えなかった。ずっと三人だったから。なんで、奇数だったんだろうね。二で割り切れない」


言いながら小葉瑠は左手の指を三つ立てた。ちょうどフレミング左手の法則だ。

それぞれの指がバラバラに向いていた。


「でもね、もう我慢できなくなっちゃったよ。花粉症みたいな感じ? リミットがきて、どばっーってあふれ出しちゃった」


小葉瑠はただ広いだけが取り柄の田舎の空を見上げた。

そこには青色しかない。一色しかない。一も奇数だ。


「私はね、怖かったんだ。三人の関係が崩れるのが。でもさ――気づいたんだ。どっちにしろ、いつかは変わらずにはいられないんだよね。永遠にいまと同じだなんてありえない。卒業だってするし、いつかは故郷から離れるかもしれない。時間はすべてを変えていく。時間は前にしか進まない。それはみんな一緒。避けられない」


時間は前にしか進まない、か。

俺もそう思っていたさ。


「だからさ、決めたの。変わっちゃうんだったらこっちから変えてやろうって。私が、自分でやってやろうって」

小葉瑠はなにかを成し遂げたような、そんな清々しい表情で、言い切った。


――強いな

小葉瑠はすごい。


それと比べて。

なにやってんだか、俺は。


俺は何度もやり直して未だに答えを見つけていない自身を嘲笑った。

心の中で何度も笑ってやった。


でも。

でもそれは、その小葉瑠の名演説は、俺の気持ちを変えるのに充分すぎた。


そして俺の胸元が引き寄せられる。

何回目のキスだろう――

そう思いながら世界が暗転する。


遠ざかる意識のなか、俺はある覚悟を決めていた。


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