同一主人公でありながら、まったく趣の違う短編三作。それをシンプルでありながら表情豊かな文体で、時に妖しく、時に美しく描く。一作ごとのクオリティーも非常に高いですが、三編通して読むことで、絶望と希望に翻弄される一人の女性の半生が鮮明に浮かび上がります。酸いも甘いも知っている大人だからこそ感じる瑞々しい世界。ぜひ読んでほしい作品。