何度でも貴方を好きになる

宮下ゆずき

第1話

夏の日差しがきらきらと輝く、夏休み中のとても淡い恋物語。


「きっと、あたしは、何度だって貴方に恋をする。この先、生まれ変わっても、また貴方を好きになってもいいですか?」



「あぁ....。なんであたしは、今、学校にいるの?分からない。」とアリスがつぶやく。

「それは、アリスちゃんが勉強してないからだと思うけどな。」とレオン。

「うるっさいなぁ。」とアリスがバツが悪そうに顔を逸らす。

「あれ?図星でしょ?」とレオンがいたずらに微笑む。

「あたしだって......!やればできる子だもん!.............多分。」と机に突っ伏すアリス。

教室には、2人きり。告白するチャンスは、今しかない。アリスは自分の鼓動がやけにうるさく聞こえた。

「先生ってさ.....結婚してんだよねー?」

「あぁ。」

「結婚ってどんな感じ?楽しい?」

「んー、楽しいこともあれば、辛い時もあるから、どうなんだろうな。」

「そっか。」

「アリスちゃんも結婚してみたら、分かるよ。」

「とーぶん先だけどね....。」

このまま勢いで告白してもきっと答えはNo。

分かってる。分かってるんだ。貴方は先生であたしは生徒で。

貴方には、愛する人がいる。あたしが入る隙などないことも。それでも、あたしは貴方を愛してしまった。どうすればいいの?どうすれば、貴方を諦められるの....?


「.....アリスちゃん?」

「え、先生、どうしたの?」

「早くしないと、補習日数伸びるぞ。」

ほら、この瞬間にもどんどん貴方を好きになっていく。

綺麗な金色の髪。黒板に向かう姿。綺麗な指。真剣な顔もいつもよりかっこいい。

「.......日数伸びてもいいよ。先生と一緒なら....。」

「何言ってんだ。俺だって忙しいからな。」

「.....そっか。ねぇ、先生、あたしが先生の事好きって言ったらどうする?」

「は?え、ちょい待った!その好きとは、恋愛感情の好きですか?」

「そうだけど....?」

その時、俺は「そうだけど....?」と言って俺を見ていたアリスに動揺を隠せなかった。なんで、俺なんだ?彼女なら、他にももっと良い奴がいるだろ....。


「せんせ....?ごめん....やっぱ、迷惑だよね....。」

と悲しげな表情で俯く。


あぁ、そんな表情(かお)をしないでくれ。俺だって、君と同じ気持ちなんだ。

「そうか....恋愛感情の好きか....。君は、こんな俺でいいのか....?」

「先生が好きだから、告白したんですけどー!もしかして、伝わってなかった系??」

と首を傾げるアリス。

「いいや、ちゃんと伝わってたぞ。ただ、歳の差を考えるとな...。」

「それって、先生が先におじいちゃんになっちゃうってだけでしょ?まぁ、先生が先に死んじゃうのは嫌だけど....」

「だろ?だったら」

「先生、今、俺じゃなくてほかの奴にしろって言おうとしてたでしょ!そんなこと言われたって、あたしは先生が好きなの!ぜっっっっったいに、諦めないんだから!先生を落とすのはあたしなんだから!」

「あはは!それなら、心配しなくても、もう落とされてるさ。」

「え?」

「アリス。」

不意に名前を呼ばれてビクッと肩が震える。

「何?」

「アリス。君が好きだ。」

「え?先生、結婚してるんでしょ?」

「妻とは死別したんだ。」

「そうだったんだ.....。」

「だから、今の俺は独身ってわけだ。」

「それなら、先にそれを言ってよ!!」

「なかなか、言い出すタイミングがなかったからな。」

「先生のバカぁーー!!」

あぁ、ほら、君を好きになって、好きになれて良かった。

なぁ、アヴリル、自分の子供と言えるくらい歳の離れたの子を好きになった。と言ったら、君は、許してくれるかい?


君の事だから、笑いながらも許してくれるんだろうな。


『やっと、再婚する気になったのね!今度は、泣かさないようにするのよ!アリスちゃん泣かしたらあたしが許さないんだから!』


「え?今の声アヴリルか....。あぁ、分かっているさ。もう二度となくしたりしないさ。」



「ねぇ、先生、学校卒業したら、結婚しよ!」

「んー....。それは、アリスちゃんが無事に学校を卒業出来たらな。」

「えー!あたしだって、やればできる子だもん!」




「「あなたを好きになれてよかった。」」

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何度でも貴方を好きになる 宮下ゆずき @miyasita_yuzuki

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