3,今後の方針
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自己紹介後、とりあえず僕達は今後の方針を話し合う。
「それじゃ、今後どうしたいか、皆の意見を聞かせてくれ」
そう切り出したのは、やはり勇者の神野くんだ。
「おいおい、お前が仕切るのかよ
ここは公平を期す為に、年長者に場を任せた方がいいんじゃねーの?」
そう言ったのは賢者のケントさんだ。
「エリンズさんの言う事にも一理ある。
どうだろう、この中で一番の年長者となると王さんになるが…」
そう言って視線を王さんに向ける。
「俺は進行役とか好かん。好きにすればいい」
そう言うと、無言になる。
「じゃ、次に年上となると、田中さんになるのかな?」
そう言ったのは聖女まりあ。
もう名前と職業でネタにしか見えない。
それに闘士の田中さんは答える。
「そうなるみたいだな、じゃあここからは、俺が進行役を勤めさせてもらおう。
異議はないか?」
田中さんは皆に確認を取る。
最初に勇者に食ってかかったケントさんも、しぶしぶ納得している。
異議が無い事を確認すると、田中さんは話を続けた。
「それじゃ、今後の方針について、皆意見を頼みたい」
まず、最初に挙手したのは、結界士の笹峰さんだった。
「まずは、どうやって邪神を探すかを考えないといけないんじゃないかしら」
「その前にレベルを上げるのが先じゃねーか?」
その提案に、そう言って異議を唱えたのは、アフリカ系アメリカ人のブライアンさんだった。
確かに彼の言う事はもっともだ。
だれも今のまま、邪神を討伐できるとは思っていないだろう。
それを聞いて田中さんは話を纏める。
「邪神を探すにしても情報は必要だ。
ここはレベルを上げながら、邪神の情報を探すのがベストじゃないだろうか?」
「そうですね」
神野くんが同意する。
そして、剣士のリサさんが提案する。
「ここはチームを別けて、情報を集めるのはどうかしら?
12人全員で行動するのは効率が悪いと思うわ」
その提案に皆が同意する。
「そうだな。まずはリーダーを決めようじゃないか。
立候補する奴はいるか?
勿論、俺は立候補するが」
そう切り出したのは賢者のケントさんだ。
そして、それに対抗する様に勇者の神野くんも立候補する。
「俺も立候補しよう」
田中さんが二人の立候補を認め、自分も名前を挙げる。
「ケントさんと神野くんだね。
一応この場で年長者として俺も立候補しよう。
後はどうチーム別けをするかだな」
「自分が従いたい人に着けばいいんじゃねーの?
そうブライアンさんは答え、ケントさんの元へと集う。
皆それに同意し、各々リーダーの元へと散る。
神野くんの元には、聖女のまりあさん、魔導師の南川さんの二人が集う。
ケントさんの元にはアメリカ人の二人、ブライアンさんとリサさんが集った。
田中さんの元には、中国人の燐麟さんと王さんが集った。
おそらく燐麟さんと王さんは、一番判断力があると判断したのだろう。
残ったのは僕と、結界士の笹峰さん。それと治癒士の宮眞ちゃんだ。
「3人はどうする?」
そんな僕達に、田中さんはどうするか確認する。
それにまず答えたのは笹峰さんだ。
「私はまだ決めかねているわ。
だって、まだ貴方達の事何もしらないもの」
「私は、どうしたら良いかわからないです」
「僕も、なんか皆に迷惑かけそうで…」
僕達がそう答えると、田中さんは一考して、僕達に提案する。
「まずは、暫定的にでもチームに入ったらどうだ?
相性もあるだろうし…
そうだな、宮眞ちゃんは俺のチームで預かろう。
全員戦士系だから回復役が居ない。居てもらえると助かる」
そう言うと、治癒士の宮眞ちゃんに手を差し伸べる。
「じゃあ、笹峰さんは俺の所に来ませんか?
俺達は全員未成年なので、年長者の意見は大切だと思うんです」
神野くんはそう言って笹峰さんを誘う。
「おいおい、じゃあ何か?
俺達にこの役立たずな変態を押し付ける気か?」
ケントさんがあからさまに嫌な顔をして、拒否感を露にする。
ですよねー そうなりますよねー
まぁ、最初からそうなる事は予想できたし、僕は僕の意見を述べる。
「あの、皆に迷惑かけれないので、僕は一人で大丈夫です」
そう言って僕は、他のチームに入る事を辞退する。
皆も顔を見合わせ、どうしたものかと思案している。
僕は事態を打開する為に提案する。
「あの、まずは皆で街まで行きませんか?
その間にお互いの力を確認できると思うんです」
僕の提案に、皆が「それもそうだな」と納得して提案に乗った。
それから僕達十二人の使徒は、一路近くの町を目指して歩みを進めた。
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「おい、本当にこっちで合ってるんだろうな」
そう苦言を呈したのは、やはりと言うかケントさんだ。
岡の上から川を見つけ、川沿いに下れば人の住む場所に出られるはずだと、今現在、川を目指して森の中をさ迷っている。
何回か魔物に遭遇したが、やはり使徒としての力を授かった皆は、危なげなく魔物を討伐できていた。
僕? 僕は後ろで眺めていただけ。
だって脱がないと戦力にならないんですよ? 理不尽ですよねーホント…
「川さえ見つけられれば、大丈夫なはずだ」
そしてそんなケントさんに答えたのはブライアンさんだ。
彼は米軍に所属していただけあって、こういうのに手馴れていた。
先頭を歩き、自ら召喚した大神剣で草木を切り分けて道を作って進む。
そうやって、ブライアンさん、リサさん、ケントさん、燐麟さん、王さん、田中さん、神野くん、秋月さん、南川さん、笹峰さん、宮眞ちゃん、そして僕の順で森の中を進んでいく。
そして、川に近づいたのか、少し開けた場所にでた。
各々無造作に広がって森を出て行く。
「やっと森を抜けれたわね…」
伸びをし、リサさんが気を緩める。
最後尾から森を抜けた僕は、森を抜けてから周囲を見渡した。
特に変わったところは無かったが、やけに静かだ。
念の為に辺りの様子を警戒していると、茂みの中から狼形の魔物が飛び出して、まだ森の近くに居た宮眞ちゃんに襲い掛かった。
「きゃっ!」
宮眞ちゃんは悲鳴を上げる。
僕は咄嗟に庇い、背中を思いっきり引き裂かれてしまった。
激痛が背中に走り、血が止めどなく滴り落ちる。
「草壁おにぃちゃん!?」
驚いて、僕越しに魔物の姿を見た宮眞ちゃんは、表情を強張らせる。
直ぐに魔物の襲撃に気付いた笹峰さんが、僕と宮眞ちゃんを護る為に結界を張ってくれた。
「二人とも大丈夫!?」
笹峰さんが僕達の元に駆け寄り、サポートに回る。
それに続き、南川さんが風の魔法で魔狼達を牽制する。
前衛と後衛との間に生まれた空間に、魔狼が入り込み、僕達を分断した。
聖女のマリアさんは、近くに居た田中さんが護衛して、怪我はしてないみたいだ。
「くそっ! 分断された!」
神野くんは、舌打ちしながら魔狼達を迎撃する。
だが、数に押され、どうにもならない。
状況が緊迫した中、宮眞ちゃんは、直ぐに治癒魔法を発動させ僕を癒す。
僕の傷が見る見る塞がり、痛みが消えていく。
しかし、背中から大きく破れた服は、もう使い物にならなくなっていた。
「大丈夫ですか?草壁おにぃちゃん…
すみません私のせいで…」
半泣きになりながら謝る。
「いや、君のせいじゃないよ。
それよりも治してくれてありがとう」
そう言って笑いかけ、安心させる。
しかし、服が血で濡れて気持ち悪い。
僕はとりあえず、服を脱ぎ捨てた。
不本意ながらも、スキルを自然に試すチャンスだと思ったからだ。
上半身裸になった僕のスキルが、もし本物ならば防御力も攻撃力も上がるはずだ…
僕はそう思い、立ち上がると、結界の中に居る三人に告げる。
「不本意だけど状況が状況だから、僕の力を試してみるよ」
そして、宮眞ちゃんに笑いかけると、冗談ぽくお願いする。
「怪我したらまた治してもらえるかな?」
そんな僕に、真剣な眼差しで「危ないから駄目だよ! 草壁おにぃちゃん」と言って僕を止める。
ほんとうに優しい子だな…
「大丈夫。君を信じているから…
それに、このままじゃジリ貧ですしね…」
そう言って苦笑し、僕は上半身裸のまま魔狼に向かって駆けた。
スキル:脱衣アーマーの性能は、脱げばステータスがあがる。
僕は念の為にステータスを確認してみる。
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草壁 男鹿馬 ♂ 16歳
職業:変態チート
スキル:脱衣アーマー(脱げば脱ぐ程、ステータスが上がる ※全裸時はほぼ無敵)
スキル:モザイク召喚(モザイクを召喚する。 特に意味は無い)
変態指数:1 変態ぽいんと:0 /100
えっちピー:130 えむピー:130 えすピー:130
攻め:130 受け:130
すピーど:130 てくにっく:130
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おお! 上半身脱ぐだけでステータスが10倍になった。
これなら行けるかもしれない。
僕はそのまま結界の外に飛び出し、近くにいた魔狼を殴り飛ばした。
以外な程あっさりと、魔狼はダメージを受けて怯んだ。
行ける! 僕はそう思って必死に魔狼を殴った。
魔狼も必死に抵抗し、僕の体は傷だらけになる。
だが、DEFもとい受けのステータスが上がった事で、浅い傷しか受けなかった。
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10分後、なんとか魔狼の群れを撃退に成功した。
僕もなんとか3・4匹は倒せたので、ある程度は貢献できたはずだ。
皆一様に疲弊し、その場に座り込む。
安全が確保された事で、宮眞ちゃんは僕の元へと駆け寄り、すぐに治療魔法で傷を癒してくれる。
「あまり無茶しないでください!」
「ハハハ…ごめんごめん…」
僕は平謝りすると、宮眞ちゃんは他にケガ人が居ないか聞いた。
「他に怪我してる人はいませんか?」
皆はうまく避けたり攻撃を防いだりして戦って居た為、ケガ人は僕一人だった…
やっぱりハズレスキルだな…武器もないし…
そして、今の戦闘で経験値…もとい、変態ぽいんとが上がってるんじゃないかと、ステータスを確認した。
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草壁 男鹿馬 ♂ 16歳
職業:変態チート
スキル:脱衣アーマー(脱げば脱ぐ程、ステータスが上がる ※全裸時はほぼ無敵)
スキル:モザイク召喚(モザイクを召喚する。 特に意味は無い)
変態指数:1 変態ぽいんと:1 /100
えっちピー:130 えむピー:130 えすピー:130
攻め:130 受け:130
すピーど:130 てくにっく:130
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「何でやねん!」
僕は思わず関西弁でツッコんで、ステータス画面を地面に叩き付けてしまった。
3、4匹は魔狼を倒したはずなのに、変態ぽいんとは1しか上がっていないとか、何の嫌がらせだ!
1匹倒しても1すら上がらないのか!
僕の異世界生活は前途多難だと、この時改めて実感した。
そんな事をしていると、宮眞ちゃんが、破けた僕の服を川で洗い、僕の元へと持ってきてくれた。
「あの、草壁おにぃちゃん
服やぶれちゃったけど、何もないよりマシだと思うから…」
そう言って服を差し出してくれる。
優しい子だなぁ…僕は素直にお礼を言う。
「ああ、ありがとう」
そして、濡れた自分の服を宮眞ちゃんから受け取る。
背中は大きく破れているが、着れない事はないか…
僕は川で自分についた血を洗い流し、濡れた服を着る。
うん。服がへばり付いて気持ち悪い。
これでステータスが元に戻ったかな。一応確認はしておこう。
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草壁 男鹿馬 ♂ 16歳
職業:変態チート
スキル:脱衣アーマー(脱げば脱ぐ程、ステータスが上がる ※全裸時はほぼ無敵)
スキル:モザイク召喚(モザイクを召喚する。 特に意味は無い)
変態指数:1 変態ぽいんと:2 /100
えっちピー:13 えむピー:13 えすピー:13
攻め:13 受け:13
すピーど:13 てくにっく:13
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変態ポイントが2に上がって居た。
もう、意味わからん。
神様、僕の職業が変態チートって嫌がらせですか?! にぃ! @21ya
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