イタリアのマフィアの浸透を考えると、ありそうな物語だ。読み進めると、苦い後味が襲ってくる。しかしながら、それもまた面白い。恐らく、この主人公にとってはそれが正しいと思った道なのだろうから、そう感じられたのだ。
イタリア、ナポリにて、ヴァイオリン職人のカリストは美しい女性、メリッサからヴァイオリンの制作を依頼される。 二か月後、カリストの作り上げたヴァイオリンを引き取りに来たメリッサは、その場で試演する。 その音色のすばらしさに魅了されたカリストは、「裏」の顔であるマフィアの命令に、いったんは従うものの……。 カリストの選んだ行動とその結末をどうか読んでほしい。 ダークな世界にありながら美しい音色に魅了された男の粋な姿にうなずくことだろう。