雨の街で殴り書いた詩





どんなことも雨のようなものだ


本当はみんな雨みたいなものだ


喜びも悲しみも嬉しさも苦しさも優しさも怒りも悔しさも憎しみも

涙も笑顔も

生きていて良かったと思えた日も

死にたいと思った日も

何もなかった日も


君も僕も

その繋がりも


いつかは止んで

消えていく

染みになろうとも

新しい染みが積み重なっていけば

見えなくなる


僕らは薄い布だ

あまりにも薄い布だ


繋がったと思えば容易く破れる


強く紡いであると思っていても

実際は薄い布だ

拙い結び目だ

強い風が吹けば飛ばされて千切れるだろう

強い雨が降ればその重みで離れるだろう

強い日が照れば干上がってほつれるだろう

時には人意的にナイフで切られてしまうことだってあるだろう



それでも繋ぎ合わせられるか

それでも紡ぎ続けられるか



雨が降れば

触れられる

雨が降れば

心は動く

雨が降れば

言葉は生まれる


頬の川もいずれは乾く

水溜りもいずれは渇く


それでも消えないものはあるだろうか

それでも変わらないものはあるだろうか


それでも進み続けられるだろうか

それでも紡ぎ続けられるだろうか


雨の中、いつまでも。



いつまでも消えないものはあるだろうか

いつまでも変わらないものはあるだろうか


それこそが僕を形作るのだろうか


だからこそ僕は進み続けるんだ

だからこそ僕は繋ぎ合わせ続けるんだ

だからこそ僕は紡ぎ続けるんだ


雨の中、いつまでも。



いつまでも、この雨の街で。









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