雨の音色





雨の音


濡れる街並み


吐いた息が白い


春の中に迷い込んだ冬は


迷い子のような僕の頬を撫で


懐かしむように微笑んだ


優しさの木の下での雨宿り


伝う滴に映るこれまでの日々


降り立った土に眠って


晴れた日には新しい芽が出るのだろうか


風に乗った小さな雨が


座ったままの僕の肩に触れて


これもまた良いよね


なんて言うものだから


僕はこのままでも良いのか


なんて思えてくるのだ


だから


今の僕のままの言葉を


そのままに歌ってみようか


なんて思えてきてしまうのだ




手は悴んで

頬は冬の色をしている

吐く息は相変わらず白くて

街も相変わらず雨に包まれている



これくらいが

僕にはちょうどいい



そんな歌を歌ってみたよ


そんなうたを唄っていくよ
















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