第6話 テイマーへの道
非常に不味い。とてもではないが隠せるような状況ではない。
「ど、どうするのよ。人間が近づいてくるわよ」
「……ふむ。少し待、いや待たなくていい。考える必要もないか。二人とも―――」
歩く水音が聞こえ、徐々に近づいてくる。
「おいアンタ。こんなところで何をしている」
剣を構え、厳しい目をこちらに向ける二人組の男。
「別段何も。強いて言うなら研究のために調査をさせてもらっていた」
間違っていない。
「……学者が護衛もつけずにこんなところに?」
どうやらこの二人組は私がテイマーの講義を受けてたのを知らないらしい。
「護衛ならいるさ。ほら」
そう言うとハミルトンの回りにくるくる回る、うっすらと光ながら幻想的な姿を見せる二人の女子がいた。
「ま、魔物!?」
「スライムとフェアリーだ!気を付けろ!」
……モンスターというだけでこの展開になるのは少し血の気がありすぎるのではないかな。
「待ってくれ、彼女らはきちんとテイムしている。私もきちんとしたテイマーだ」
この緊急時だけだがね。
「テイマーで学者……か。まぁいい。ところでだ」
「なにかな?」
「大型のスライムを見なかったか?アンタも緊急依頼の話を聞いていると思うが、この下水道で大型のスライムが暴れてるって話があがってな。地上での目撃もあるって話なんだが……」
そう言いスライムの方に目を向ける。
「あぁ…その依頼は私も受けているよ。だが芳しくないね。スライムの破片と言える体液はチラホラ見かけるのだが……」
首を横に振り見かけてないことを示す。
その態度を見て、ようやく男たちは剣を下ろす。
「そうか。下水道とはいえなにが起こるか分からない。お互い気を付けていこう」
「そうだな。私は一旦上に上がるとするよ。日頃運動しない者にはやはり堪えるね」
「ははは。学者にはこういう環境は辛いか」
「全くだよ。それでは行こうか」
来た道を戻る形で上がるとしよう。
二人組と十分な距離を離してようやく二人と会話をする。
「ふぅ…危なかったな。バレなくて済んだ」
「あの二人を殺すのはダメだったの?」
「あ、あの改めてありがとうございます……」
罪もない人間を殺すのは流石に不味い。
「気にするな。君は助かる、私もテイム出来て助かっている。そ、それでだな……後で触らせてほ、欲しいんだが……」
不味い。緊張してどもってしまう。
「大丈夫ですけど……痛いことはしないでくださいね?」
「……善処する」
そんな会話をしながら下水道から出る。あとは受付に話して完了だ
テイマーライフ ハル@復帰 @1027
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