ババアvsニート トイレ編

「腹痛!辛い!」

 ニートの不規則な生活習慣は腹痛の素。ニートはいつだってお腹ピーピーなのだ。

「トイレに行くぞ!待ってろ便器!もう少しだよ肛門括約筋!」

 ニートは階段を駆け下りる。

 トイレのドアノブに手をかけた。しかし非情。ドアノブは回らない。

「アアッ!クソッ!父さんは仕事!母ちゃんはパート!つまり!」

「ファファファ、わしじゃよ」

「その声は!ババア!クソッ!穀潰しが!」

 ババア87歳。トイレはいつだって突然。

「クソ!ババアのウンコは長い!そして臭い!臭気が散るまで30分は耐えねば!」

 ニートは階段を駆け上がり自分の部屋に戻った。


「ああっ!大腸と肛門の狭間で行き場のない想いが駆け巡る!」

 あと、どうでもいいけど、「大腸と肛門」と「愛情と衝動」でいい感じに韻を踏めてるなとニートは思った。ライム至上主義。こんなクソ小説書くのはだいぶ異常趣味(筆者の自虐)

「クソッ!30分!耐える!」

 ニートはPS4の電源を起動した。

 ニートはFPSを好む生き物だが、全てのニートがFPSが上手いわけでもない。

「アアア!死に晒せ!この時間に潜ってる社会不適合者がよォ!」

 ニートの手から勢いよく放り投げられたデュアルショック4が壁に叩きつけられる。

 ちらりと時計に目をやると既に30分経っていた。

「よし!30分経った!イクゾォ!」

 ニートは再び階段を駆け下りた。

「ウェルカムヘヴン」

 ニートはトイレのドアノブに手をかけた。


「ファファファ、わしじゃよ」

 だがしかしババアのウンコはいつだって長いし臭い。

 ドアノブも回らず、脳も回らず、しかし腸内の無法者たちは暴れ回る。

「ゴートゥーヘル」

 ニートの口からポツリとこぼれ落ちた嘆きと同時に、肛門括約筋は決壊した。

 尻からこぼれ落ちた哀しみと、ニートの頬を伝うこぼれ落ちた涙が、この社会に伝わることは無かった。



おしまい

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自分流のもろもろ短編集 しろめし @hakumai_daisuki

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