第105話 蝶
金田一
「はい、お次は誰かな?」
司会
「次は蝶ですね。初登場参加です。それが蝶さんお入り下さい」
司会の目の前にきれいな蝶々がひらひら舞っている。
蝶
「はい、初めまして。今日はよろしくお願いします」
司会
「こちらこそ、よろしくお願いします。早速ですが蝶さんが提訴したいことわざは何でしょうか?」
蝶
「ことわざでは無いんですが『蝶つがい』という言葉です」
司会
「あ、これはドアとかの開閉の時に使う部品の名前ですよね」
蝶
「そうです。確かに形状が私たちがバタバタ羽ばたく姿に似ているのでぴったりだと思うんですが」
司会
「では、何がご不満なんですか?」
蝶
「はい、私たちが名前に使われるのは全然問題ありません。問題は『つがい』と言う言葉なんです」
司会
「はい、『つがい』は一般には『夫婦』と言う意味ですよね」
蝶
「そうです。この部品はよく見ていただいたらわかりますけども、別に夫婦は関係ないんです。つまり1匹の姿を表しています」
司会
「確かにそうですね。わかりました。それではこの言葉の変更ですね。金田一先生よろしくお願いします」
金田一
「はい、わかりました。そもそも一般に『つがい』とは『つがい結び』や『つがい舞い』、『つがい鳥』などに使われて『一対』や『夫婦』と言う意味を表します」
司会
「しかし蝶さんは1つでも『つがい』と呼ばれているのが気に入らないらしいんです」
金田一
「わかりました。それでは今後は『蝶つがい』と言う言葉を使う場合は部品が二つの時だけにしましょう。これなら『一対』ですから問題ありませんよね」
司会
「たしかに。しかし一個の時は何て言うんですか?」
金田一
「あ、一個の時は『蝶独り身』と呼ぶようにします」
司会
「なるほど。でもよく大きなドアなんかには3個使ってる場合がありますよね。その場合はどうしますか」
金田一
「その場合は『蝶ファミリー』にします」
司会
「なるほど、その個数によって呼び方を使い分けるんですね。英語の名詞で単数と複数で呼び方が変わるのと一緒ですね」
金田一
「はいそうです。少し面倒なことになりますがすべては時間が解決します。すぐに慣れます」
司会
「と言うことですか、蝶さんいかがでしょうか?」
蝶
「はい納得しました。みなさんには何かお手を煩わせるようなことになったみたいですが、今までのモヤモヤした気持ちが吹っ飛びました。ありがとうございます」
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