第103話 アホウドリ
金田一
「はい、次は誰かな?」
司会
「次はえーと、初登場のアホウドリですね。それでアホウドリさんよろしくお願いします」
アホウドリ
「毎度。お初にお目にかかりま。よろしゅう頼みます」
司会
「はい、こちらこそ。アホウドリさん今日は何を提訴されに来ましたか?」
アホウドリ
「ここは名前でも提訴してええちゅうことを聞いたんやけんど、ホンマによろしいでっか?」
司会
「金田一先生いかがですか?」
金田一
「はい、まずは主張を聞いてみましょう」
司会
「と言う事ですが、もう名前と言う事はアホウドリそのものを提訴したいわけですね」
アホウドリ
「せや。人の名前にアホとか言うん、ええかげんやめて欲しいねん」
司会
「やっぱりアホはいやですか?」
アホウドリ
「そら殺生だっせ!司会はんも『アホ司会』とか言われたらいやでっしゃろ?」
司会
「いや、嫁によく『アホ亭主』と言われますが、やはりいやですね」
アホウドリ
「せやろ?うちの子供なんかは小さい時から塾に行かして、せっかく偏差値70にもなったのに『名前自体にアホとついてるんで何か今更勉強する気が失せる』と最近言うてまんねん」
司会
「はー、かなり深刻なんですね。要するに名前を変えたら納得しますか?」
アホウドリ
「変えるだけでのうて海外のようにリスペクトが欲しいんや」
司会
「海外?リスペクト?」
アホウドリ
「せや、司会はんは『アルバトロス』を知ってまっか?」
司会
「知ってますよ。ゴルフ用語のアルバトロスはパーより難しいイーグルよりもさらに難しいんですよ。しかしアホウドリさんと何か関係あるんですか?」
アホウドリ
「海外ではアホウドリのことを英語でアルバトロスと言うんや」
司会
「あ、そうだったんですね。知りませんでした。金田一先生助けてください」
金田一
「はい、確かに海外ではアホウドリさんはその飛翔力がリスペクトされています。だからゴルフでもイーグル(鷹)よりも上に位置付けされているんです。因みにゴルフではアルバトロスはホールインワンよりも困難とされています」
司会
「え、そうなんですか?」
金田一
「アルバトロスが狙えるのは唯一、Per 5や6のロングホールだけなんです。このホールを3打で入れるには300ヤード級を2回正確にコントロールして打つ必要があります。いかに難しいかわかりますよね」
司会
「あの、先生。一方のアホウドリの語源は何ですか?」
金田一
「あ、これは人間が羽根を取る為に乱獲した時に地表をウロウロして、アホみたいに簡単に捕獲できたからです」
司会
「そんな単純な理由からなんですか?」
金田一
「はい、残念ながらそうです」
アホウドリ
「みてみぃ、リスペクトのかけらもおまへんやんか!」
司会
「まあまあ気を鎮めてください」
金田一
「それではどうでしょうか、明日からはアホウドリさんの名前は『ホールインワンより難しい鳥』でいかがでしょうか?」
司会
「あ、アホが取れただけでなく、これは完全にリスペクトしてますね」
アホウドリ
「ちょっと長いけんど、よろしいでんなー!それ」
司会
「いいですか?」
アホウドリ
「ホールインワンより難しいと言われたら息子も満足すると思うわ。おおきにな、ほな帰りますわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます