第95話 狼 3回目
金田一
「さあ、お次は誰かな?」
司会
「次は狼ですね。3回目になりますね。それでは狼さんお待たせしました」
狼
「おはよう!昨日はどうもありがとう」
司会
「あ、『前門の狼(20)後門の虎』のことですね」
俺
「はい、仲間も『これなら虎と互角に戦える』とみんな喜んでいます」
司会
「それは嬉しい限りです。さて今日はどの言葉を提訴されますか?」
俺
「やはり、『一匹狼』ですね」
司会
「あ、誰の助けも借りずに黙々と1人で仕事をこなすプロフェッショナルみたいなイメージがありますね。漫画で言えば『ゴルゴ13』を思い出します」
狼
「そうなんです」
司会
「例えば『先輩は会社を辞めて一人で事業を立ち上げた。まるで一匹狼のような人だ』などと使います」
狼
「そうです。何かこれっていい例えになってますよね」
司会
「はい。孤高のチャレンジャーと言ういいイメージがあります」
狼
「それはそれでいいんですが、実は私たちの世界での『一匹狼』っていうのは全く意味が違うんです」
司会
「といいますと?」
狼
「私たちは雌雄のペアを中心とした平均8頭ほどの社会的な群れを形成しています。群れはそれぞれ広大な縄張りをもち、縄張りの外から来た他の狼はたいてい追い払われるんです」
司会
「なるほど、団体で外敵から守っているわけですね」
狼
「しかし、仲間とうまくコミュニケーションがとれなかったり、リーダーに気に入られなくなり群れから孤立し単独で活動している狼が時々います。これが我々の『一匹狼』の定義なんです」
司会
「要するにグループから外れた『負け組』なんですね」
狼
「そうです。ですから意味が真逆だから変更して欲しいのです」
司会
「わかりました。金田一先生よろしくお願いします」
金田一
「人間界の『一匹狼』の定義は文字通り、単独で行動している人のことを指します。常にグループで群れて行動するのを好まず、自発的に単独行動をする人のことを指します」
司会
「私もそう理解しています」
金田一
「そのため『一匹狼』と呼ばれる人は、グループから外されたのではなく、自分の意思であえて一人で行動している場合が多いですね。だいたい以下の7つの性格を持っています。
1 決断が早い
2 嫌なことはきっぱりと断る
3 自分の生き方や性格に誇りを持っている
4 信頼できる人は、とことん大切にする
5 あまり自分の過去の話をしない
6 他人に対して興味が薄い
7 周囲の意見や行動に流されることがない
以上です」
司会
「いやー、やはりかっこいいですね。まさにゴルゴ13ですね。憧れます!」
狼
「だから美化し過ぎですって!」
司会
「いや、狼さん。カッコいいからいいじゃないですか。変更するのはもったいないですよ」
狼
「いや、やはり話を聞いていて恥ずかしいから、もう少し『負け組』の要素を入れていただきたいです」
金田一
「負け組の要素ですね。わかりました、では明日からは『一匹狼、でも結局は一人ぼっち』に変更します」
司会
「あ、いきなり『負け組感』が微妙にブレンドされましたね。狼さんいかがでしょうか?」
狼
「いいですね。相殺されそうで、されていない微妙な感覚。さすがは金田一先生です。来てよかったです!」
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