第91話 アブとハチ
金田一
「さて、お次は誰かな?」
司会
「次はなんと共同提訴ですね。アブとハチが一緒に来てます。それではアブさん、ハチさんよろしくお願いします」
アブ・ハチ
「こんにちは!こちらこそよろしくお願いします」
司会
「アブさんとハチさんが2人来てると言う事は今日の提訴はあれですよね。『アブ・ハチ取らず』でしょう?」
アブ・ハチ
「はい正解です。さすがにバレますよね」
司会
「これは2つの目標を同時に取ろうとする場合、集中力が欠けて結局は1つも取れなかったと言う戒めのことわざですよね」
アブ・ハチ
「はいそうです。同じ意味の言葉に『二兎追うものは一兎をも得ず』と言う言葉があります」
司会
「そうですね。けれども何かこの言葉にご不満があるんですか?私はいいことわざのように思うんですが」
アブ
「ではちょっとこの資料を見てください」
ハチが1枚の紙を司会に差し出した。
司会
「これはなんですか?」
アブ
「現在の海上自衛隊のイージス艦の性能を書いたものです。特にここをご覧ください」
指を指すハチ。
※
イージスシステム
同時に12以上の目標に対してシースパローを発射した後、正確な撃墜が可能。
自動追尾システムを備えたシースパローは目標物を100%撃墜できる。
※
司会
「なんと、12の目標を同時に撃墜ですか!」
アブ
「そうなんです」
司会
「凄い性能ですよね」
アブ
「いやいや、まだまだこれで驚いてたらいけないんですよ。イージス艦には『ハルマゲドンシステム』っていうのがあって、これを発動したら自動的に180の目標物を一斉に攻撃をして撃墜することができるんです」
司会
「180ですか!なるほど、凄い時代になったもんですね。という事は今日の提訴はこのことわざの変更ですよね」
アブ
「そうです、ぜひ現代風に変更をお願いしたいと思います」
司会
「と言うことで、金田一先生よろしくお願いします」
金田一
「イージスとはギリシャ神話で『無敵の盾』を意味します。海上自衛隊のイージス艦はアメリカ海軍と共同開発で作った最新鋭のシステムを搭載した艦で、特に航空攻撃に対してのハリネズミのような武装が自慢です」
アブ
「はい。ですから、大切な国防においては我々『アブとハチが同時に取れない』ような低いレベルではいけないと言うことを提訴したいんです」
司会
「なるほどそうですよね。たかだか2つの目標位のことで右往左往してたら、一気にやられてしまって撃沈されますからね」
金田一
「本当に時代は変わりましたね。それでは明日からはこの言葉を大きく変更します」
アブ
「どのように変更されますか?」
金田一
「海上自衛隊に知り合いがいますから先ほどの『ハルマゲドン・システム』を『アブハチ・システム』に変えてもらいます」
司会
「いきなり勇ましいネーミングですね。『アブ・ハチ取らず』とはえらい違いですね」
金田一
「これからの国防と言うものは先の大戦とは違って、全方位からミサイルが飛んでくる戦いになります。『アブハチ・システム』で180の目標を軽く打ち落として欲しいものです」
司会
「アブさん、ハチさんいかがでしょうか?」
アブ
「いや、勇ましいネーミングをいただき大満足です。ありがとうございました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます