第78話 犬 3回目
金田一
「さて、お次は誰かな?」
司会
「次はまた犬ですね。犬さんどうぞ、今日は何を提訴されますか?」
犬
「今日はやはり『夫婦喧嘩は犬も食わない』ですね」
司会
「あー、よく使いますね。我が家は特に夫婦喧嘩が多いから日常よく使います。一般には『何でも食べるとされている犬でもさすがに夫婦喧嘩は食べない』と言う意味ですね」
犬
「これって、数あることわざのなかでもめちゃくちゃじゃないですか?」
司会
「え?めちゃくちゃとは?」
犬
「そもそも夫婦喧嘩なんて食べ物じゃないですよね」
司会
「もちろん、これは我が家の風物詩ではありますが決して食べ物ではありません」
犬
「食べものでないものはだれも食べれませんね。ましてや固形物ですらありませんので食べようがないです」
司会
「はあ」
犬
「次に我々は『何でも食べるものの代表』となってるじゃないですか?この辺り、何か我々に対するリスペクトが足らないと感じます」
司会
「たしかに・・・でも犬さんて、結構何でも食べるじゃないですか?」
犬
「いや・・・食べないものもありますよ。皆さんもご自宅で飼っている犬に好き嫌いがあるのはご存知でしょう?」
司会
「あ、うちの犬はサカナを食べせんね」
犬
「でしょう?」
司会
「では提訴内容はこの言葉からの事態ですね」
犬
「はい。100年間我慢しましたが、この辺りで辞退したいと思います」
司会
「わかりました。金田一先生よろしくお願いします」
金田一
「江戸時代の長屋の人たちは、必要ない残飯を集めて犬に食べさせていました。そのガツガツが食べる光景が『犬は何でも食べる動物』と言う印象になったんでしょうね」
犬
「それは誤解ですよ。そんなこと言ったら猫とか牛とか豚でも何でも食べますよ。まあ代表格は何と言ってもバクテリアでしょうね」
金田一
「でもやはり犬さんは、人間にとって身近な存在だったって言うことなんで、ここは一応リスペクトをしたと理解をお願いします」
犬
「そこはわかりました。でも今回は辞退をお願いしますね
司会
「しかし犬さんが辞退するして、適任の動物がありますか、金田一先生?」
金田一
「何でも食べる動物と言う印象にぴったりなのがありますね」
司会
「それはなんですか?」
金田一
「ガッちゃんです」
司会
「ガッちゃん・・・ドクタースランプに出てきたアラレちゃんのサブキャラですね。確かにあいつは何でも食べてました」
金田一
「設定では『人語を話すことはなく、クピ、ポなどの音を中心とした独特の言語でコミュニケーションをとって金属、鉱物、ビルなどを好んで食べる』と書いてますね」
司会
「いやー、適任ですね。犬さん、これいいじゃないですか?」
犬
「なんか食べっぷりがいいですね」
金田一
「じゃぁ、明日から施行で決まりです。ガッちゃんは愛称で正式名称は『則巻ガジラ』なので、『夫婦喧嘩はガジラも食べない』と言うことにします」
司会
「たしかガジラは『ガメラ』と『ゴジラ』をくっつけた造語ですね。犬さん、これでよろしいでしょうか?」
犬
「はい納得しました。次の100年間はその則巻ガジラさんに譲りたいと思います。今日はありがとうございました」
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