異世界は妄想世界⁉︎〜 妄想世界は出来上がる。



ーーーーーーー


ここでいくつか整理をしておく。

この部分は飛ばしてくれても問題ない。



まず、この世界は俺が作った妄想世界で間違いないようだ。


次に、知的生命体だがこれは俺もわからない。

なんといってもほぼ寝かけてたからな。


時計だが、これはもう使えない。

試しに一度1秒戻してみたのだが何も変わらなかった。

知的生命体確認と書かれているし、ほぼ間違いないだろう。


そして、今の年代だ。

おそらくだが、俺が妄想世界を作ってから時計が動いたはずだ。

そして時計の針は100年後。

つまり、知的生命体が生まれ100年経ったとみて間違いない。

文明もおそらく相当進んでいるだろう。


最後に、この世界における進歩や、文明。

これは全く分からん。

科学的な進歩もわからんが魔法があるのかどうかも分からん。

ただ……これだけは言える。

俺の妄想世界なんだから普通ではないはずだ。

ほぼ間違いなく魔法はある。



ーーーーーーー



さて、話を進める。


とりあえず街を散策したいが今の格好では目立ち過ぎる。



「モコー。服作るぞ。」



モコを呼ぶ。



『んー?服?』


モコ

はキョトンとしている。


今まで俺は服というものを一度しか作っていないのだ。


寝る時のパジャマと普段着をそれぞれ1着ずつだけだ。


別に不潔なわけではない。


作った服は自動的に洗濯される服にしているし、着替える必要も特にないしな。



『何それー。』



モコは小さく首を傾げて俺を見る。


クソ…あざと可愛い。


本人はわかってやっていないだろうがな。



「ちょっと待ってろよ……。」



せっかくだから可愛い服を着せてやりたいよな…。


ただ、動きにくそうなのはダメだ。


ああ…そうだ。


俺は不思議の国のアリスを思い浮かべる。


エプロンドレスにしよう。


色はピンクにしようか。


靴下は…やっぱ縞々だよなー。黒と白の。


で、靴は赤いローファーにするか。


後は、下着。だよな…。


これは青少年に良くないので詳しくは書かない。


ただ俺は、ピンクが好きだ‼︎


というわけで出来上がった服をモコに手渡す。



「出来たぞ。ほら。服だ。これに着替えてこい。」



『んー。

良く分からないけどわかったー。』



モコは特に気にすることなく着替えに消えた。


さて、俺はどうすっかな。


考えてみたがいいのが浮かばなかったので通行人の鍛冶屋のおっさんの服をそのまま借りた。



『おまたせー‼︎

これ、可愛いねー。』



モコはよほど気に入ったのか俺の前でターンをして見せてくれる。


俺の目に狂いはなかったようだ。



「よく似合っているぞ。」



『♪〜♪〜』



モコはよほど気に入ったのかスキップしている。



「さて、街へいくか。」


『うん!いこー‼︎』



街に溶け込める服装に身を包んだ俺達は再び家を出る。


その頃には辺りもだいぶ明るくなっていたので街全体の雰囲気もこれでわかるだろう。



俺達が家の外に出た瞬間。



ガラガラガラッ‼︎



「……‼︎」


俺はとっさにモコの手を引く。



ガラガラガラッ‼︎



俺達の目の前を馬車が通っていく。


もう少しで轢かれるところだった。


しかし、俺は怒鳴らなかった。


理由は……



『ねぇトモ。

あの生き物なぁに?』



そう、見たことのない生き物が馬車を引いていたのだ。


黒い馬のような姿に黒い羽を生やした魔獣。


空を見上げれば色は違うが同じ魔獣らしき生き物が馬車をひいて空を飛んでいる。



「どんだけー…」



いつだったかわからないが、聞いたことがある言葉を俺は呟いた。




『大丈夫ですか?』



俺達が馬車に轢かれそうになった事に驚いていると思ったのだろう。


1人の人が話しかけてきた。



「あ、あぁ…大丈夫だッ⁉︎」



話しかけてきた人間の頭にはにはネズミの耳が付いている。


ネズミの獣人か?


どんだけの種類の獣人がいるんだよ‼︎


俺は心の中でツッコミをいれる。



『危なかったですね。

今度会ったら言っておきますね‼︎』



ここには人がいるんだからと話を続けて、獣人の少年はニコリと笑いかけてくる。



「ありがとう。

ところで、君は?」


そういうと、獣人はアワアワとなりながらもそうでした…と言って



『はじめまして。

僕はユキです。

この街で案内人をしています。

よろしくお願いしますね。』



と挨拶をしてくれた。


彼が俺達にとってこの世界での友達となるのはもう言わなくてもいいだろう。



「よろしく。俺の名前は トモ だ。

この街にまだきたばかりの旅人だ。

横にいるのはモコだ。」



『よろしくお願いします。トモさん、モコさん。』



そう言って俺とモコに改めて挨拶をしてくれる。


どうやらユキはとても親切でいい獣人のようだ。



『……。』



だが、モコはそれに返事をせず俺の後ろに隠れてしまった。


どうやら人見知りのようだ。


…知らなかった。




『悪い。こいつ人見知りなんだ。

ところで、案内人ってなんだ?』



軽くユキに謝り、質問する。


さっき聞いたが案内人ってのはなんなんだ?



『案内人といのは最近できた新しい職業なのですが、その名の通りこの街を案内する仕事をしている人の事です。』



なるほど。


つまりはこの街のアレコレを教えてくれるという事か…


こいつはラッキーなんじゃないか?


俺は期待しながら聞いてみる。



「それなら俺達に街を案内してもらえないか?

俺達ここから遠い田舎町から来てて何にも知らないんだよ。

ただ、金がないんだ」



唯一の問題はそう、金だ。



『はい!もちろんですよ。

それが私の仕事ですから。

お金も必要ありません。』



そう言ってにっこりと頷いてくれた。


ユキはゴソゴソと肩からかけている鞄を漁る。



「ん?」



小さく あぁ…ありました。と言って俺に紙を渡す。



『お金は必要ありませんが、案内後にこちらのご記入をお願い出来ますか?

全ての案内の終了後、ご自宅で結構ですのでお願いします。』



……渡された紙の文字を全く読む事が出来なかった。



「わかった。」



俺は動揺しつつもしっかりと頷いた。


当然、心の中で家でなんとかしないとなと思っている。

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世界の創造主に選ばれたので妄想世界を作り英雄になりました ウメコ @umekom

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