第230話 失意

長細い脚部をピタリと止め、動きを停止させた彩羽



陶酔に浸った化け物に向かう御見内が床に落ちたバヨネットナイフを拾い上げた。



眼光鋭く射撃態勢を取るエレナを頼りに



吐き出された村田の身包みにチラリと視線を向け



死角へと周り込んだ御見内がスライディング



そのまま胴体下へと滑り込んだ



そしてバヨネットを握り締め



効くのか…?



御見内が素早くそのナイフを突き上げた。



数回程の試し突き…



だが皮膚はまるでゴムの様に弾力を帯び、貫通には至らない



やっぱりナイフじゃ駄目か…



御見内は刃の通らぬ不気味な皮膚を見上げながら即座にナイフ攻撃を止めた時だ



彩羽「誰ぇ~ ツンツンツンツン痛いよ~」



彩羽の声が響き



御見内の見上げる真上に瞼らしきものが浮かび上がってきた。



そしてそれが開かれ、大きな目玉が飛び出してきた。



人の顔くらいはある巨大な目玉がギロリと動かされ、まばたきがなされた。



彩羽「そこねぇ~ 見ぃ~け もうそんな所に隠れてコソコソ何やってるの? 痛いじゃない… お兄ちゃん…」



そんな大きな目に見つめられ、背筋にゾッと寒気が走ると同時に



御見内は躊躇なくバヨネットナイフを再び突き上げ、その目玉に突き刺した。



ジュボ



すると



彩羽「きぁあああ~ 痛ぃ~ 何するのぉぉぉ 痛ぃぃ~よ~~」



彩羽の悲鳴が木霊し、瞼が閉じられ、細長い脚が暴れ出した。



そんな乱れた怪物から抜け出す間際



おまえ等化け物を倒すのに一番効果的な武器はこいつに限る…



そして御見内は懐から手榴弾を取り出した。



やっぱこいつっきゃねぇ~な…



そしてピンが抜かれ、離れ間際に排口となる触手の口にそいつを投げ込んだ



うまくいけば…



ゴロゴロと転がりながら外に出た御見内



その数秒後



ドカァアアア



手榴弾は破裂



触手は粉々に散り、またコブの体表にも大きな割れ目が生じた。



彩羽「ぎゃあぁぁぁ~~」



甲高い絶叫が再び響き渡り



コブの一部が炸裂で開かれた。



よし 上手くいった…



御見内はその裂け目に飛びつき、腕を突っ込ませ、こじあけた。



裂け目から泡ぶくが生じ、コブが修復をはじめる



驚異的スピードで傷口を塞ごうとする中、ヌルヌルする内部に腕を突っ込ませ飲まれた村田の腕が掴まれた。



そして強引に村田を引っ張り出した。



彩羽「きゃゃ~ 痛いよぉ~  何なのよ一体」



そして引きずり出される村田の頭部が見えてきた



体液まみれな頭髪、眠るように目を閉ざし、ネトネトな体液にまみれた村田の顔が現れてきた時



ビュン ヒュ ヒュ



3本の触手が御見内に襲いかかってきた。



だが…



パス パス パス



3つの薬莢が銃器から吐きだされ、寸前で被弾 触手達が空中をのたうつ



カバーに入るエレナが見事に撃ち抜いていた。



そして命を預けた御見内はそのまま一気に村田の身体を引きずり出した。



よし…



ネトつく村田が地面に落ち



引きずろうとした時



御見内は愕然とした。



そう…



村田の身体は上半身しか無かった…



腹部辺りから下が既に消失していたのだ



村田は既に息絶えていた。



救い出したはいいが無惨にも下半身を失い



消化されたというより食い千切られた痕が見られる断面…



既に遺体と化す村田に御見内は言葉を失い、動揺、引きずる手を離した。



そうこうしてる間に急速に亀裂は修復、コブが元通りに戻っていく中



骸を眼下に茫然と立ち尽くす御見内へ…



エレナ「道 そこから離れて」



エレナの呼び掛けと同時に触手が鞭のごとく地面をはたき、先端が鋭き刃へと早変わり



そして一斉に御見内へ向け振るわれようとした。



心理的ショックから瞬間的にフリーズを起こした御見内を襲う触手群



4本の触手が御見内を斬りつけようとした寸前



パス パス パス パス



首スレスレでインパクトを受けた触手が空中で止まった。



そしてもう3つ



彩羽「いったぁ~」



4つの刃にヒビが生じ、動きがストップされると、彩羽の目がギロリとエレナに向けられた。



エレナ「道! 早く」



エレナの呼び掛けでハッとさせた御見内がさがった。



彩羽「ったく さっきからちょこちょことお邪魔虫ね 逃がさない」



空中でもたつく触手達が再び御見内を襲おうとするや



パス パスパス パスパスパスパスパス



彩羽「きゃゃー」



彩羽本体が傾き、体勢が崩れた。



3本の脚部に連続で銃弾がブチ込まれ穴が開いていたのだ



そしてガガンボの様な細長い脚部が断ち切られ、彩羽の身体が横倒れた



ドスン



村田の死体を押し潰し…



彩羽「いったぁ~ 何すんのよ」



エレナ「離れて」



御見内「くっ クソ」



御見内はバックで離れた。



スピードリロードで再装填を終えたエレナが続けざまに銃撃しようとした時だ



彩羽「もう本気の本気でプンプンプン そこのお姉さん ホッント大っ嫌い 嫌い 嫌い お姉さんから食ってやる~」



早くも自己修復をはじめた脚



彩羽が強引にも身体を起きあがらせようとするその背後から…



エレナ「チィ こなクソ」



エレナが発砲を行う間際…



御見内、エレナの前で



バコン



体毛に覆われた腕が振り下ろされ



熊手の鉄槌が彩羽に浴びせられた。



※ここまでがエブ○スタに載せてまして、移行が完了しました



順番が違くて申し訳ないですが、続いてパート1を完結まで移行させます



それが済み次第再開させます



ここまで読んでくれた方、感謝致します しばしお待ちくださいませ<m(__)m> 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

感染症Sequel みのるた @minosanminosan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ