第42話 非常事態
リアムは人気のない場所で通信用魔石に魔力を流した。
「こちら、
『こちら
と
いかに高度に秘匿された通信魔導でも傍受される可能性がある以上、隠せるところは隠す必要が出てくる。
「詳細は?」
『
「了解した」
と言ってリアムは通信を終了した。
そして、仮面をつけ、依頼人すなわち王の元へ走り出した。
::::::::::::::
スカルマスクは王と王子の泊まっている施設へと到着した。
宿泊施設周辺の警備体制が昨日訪れた時の何倍も厳しいものになっていた。
その警備はもちろんスカルマスクという怪しさの塊のような存在を逃すことはなかった。
スカルマスクには抵抗も戦闘もする気がなかったとはいえ、彼はあっという間に取り囲まれてしまった。
「貴様が犯人だろ!」
兵士の一人が声を荒らげる。
何か疑われているらしいがスカルマスクには全く心当たりがない。
兵士たちは腰の剣に手をかけている。
スカルマスクはデジャブを感じため息をつく。
「止まれ」
なんとなく予想した通り静止の声が入る。
兵士達は戸惑いの顔を声の主に向ける。
「副団長、お言葉ですが…」
「黙れ、3番隊に下されたのは客人以外を通さないという任であろう。彼は客人であり、仮に彼が犯人であろうとも断罪するのは君たち3番隊ではない。立場を弁えよ」
明らかにピリピリとした雰囲気がこの施設全体を包んでいる。
普通ではありえないレベルの事態が起こったのは確かなようだ。
「では、スカルマスク殿、こちらへ」
スカルマスクは昨日王と面会した場所へと案内された。
部屋に入ると兵士から警戒の眼差しを全身へと突き刺された。
流石に王の護衛を任されるレベルのエリートと狭い部屋の中、なんの仕込みもなしに戦うとなるのは避けたい。
スカルマスクはなるべく相手を刺激しないように意識しながら王の前に立った。
「よく、来てくれたスカルマスク。…時に君がやったのか?」
と王が尋ねる。
王の鋭い目つきは髑髏のマスクの下に隠れた表情を読み取ろうとしているようだった。
「そもそも何があったかも知らないのですが」
とスカルマスクは正直に返す。
王は側に控える
「ノイズまみれで読み取り難かったですが嘘はないかと」
と
王は頷き
「いきなり疑うという不躾な行為を許してほしい。…実は」
とそこまで言いかけたところで
「いけません陛下、この者に詳細を話すことも信じることも…危険すぎます。奴の疑いはまだ晴れたわけではないのですよ」
と兵士の一人が声を上げた。
彼ら護衛の任につくものからの信頼が微塵も存在していないことぐらい理解していたが、それを考慮しても不可解なぐらい警戒されている。
「そうだな、同時に2番隊、君たちの疑いも晴れていないぞ」
と王は厳しい声を兵士に突き刺す。
発言した兵士はその言葉に本当に突き刺されたかのように呻き声を上げて後ずさる。
スカルマスクは頭の中で目の前で繰り広げられた話を整理していた。
王、王子の護衛兵団は数個小隊で構成されており1番隊、2番隊、3番隊…と名付けられている。
特に1番、2番、3番の名を受けた隊はそれぞれ王の護衛、王子の護衛、二人の利用している施設等の警備という重要な任務に当たっている。
そして今、疑われているのは自分以外に2番隊らしい。
つまり……
スカルマスクは部屋をキョロキョロと見回す。
要らぬ警戒を受けないようにその場で探すことになったが、見つけようとした人物はいない。
まさか……
「王よ、まさか…アレ…王子が?」
スカルマスクは恐る恐る口を開いた。
最弱魔導師と最強魔道具 俊 @si0n
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最弱魔導師と最強魔道具の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます