怪奇な箱のなか――。
その世にもふしぎな世界観を我々はひたすら夢中に覗きこんでいる。
ぐるりぐるりと落ちてく螺旋階段は底なしの異界へと読み手を誘う。
まことしやかな伝承たち……奇妙な土地の奇妙な風習。
怪、美しき気候とおぞましき空模様。
怪、ある日消えた幻想生物。
怪、蔓延する謎の死病……。
1エピソードはひじょうに短い文章ながら、本書にはさまざまな地域で収集された怪奇が秘密裏に綴じられている。全てさくりと読めるが想像力が掻き立てられ、次の怪へうつるには、暫し間を要する……。
そうしてる内に、気づけば新たな怪奇が増えていく。
ぞくりと背筋が冷えるのだが好奇に勝るものは無く。