ある晩のこと、燭村の隣村が大火で覆われた

ある晩のこと、燭村の隣村が大火で覆われた。それは昼の太陽よりも鋭い炎を放ち、誰もが村人の安否を心配した。

しかし不思議なことに、翌日その場所には焼き焦げた形跡もない。更には物の残骸や、集落の形跡すらない。村人も、あれほどの大火事であるにも関わらず、村の名前も知らなかったのだそう。

それ以降、午前二時になると決まって燭村の隣で何かが燃える様を目に出来るらしい。その隣で誰火が行き来した形跡も分からず、ついには村人は我関せずと触れないようになった。

今日も、それは燃え続けている。

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