　回廊都市アイドリスには年間数百人の死者が出ている。多くは居住区を区画ごと移動する際に起こる事故死が多いが、毎年10人が必ず郊外での中毒死を遂げる。

　アイドリスは周囲の劣悪な環境から身を守るべく区画ごとシェルターとして過ごしているとされおり、外に出る者はいない。しかし、不審死を遂げた者の親族から｢外から祭りの音が聞こえていたらしい｣と証言があったそう。｢赤い灯が見える｣｢遠くで人だかりがある｣｢黒い煙幕が屋台の白靄に見える｣等と証言はまちまちだが、皆口々に言っては中毒死するそう。

　一体彼らには何が見えていたのだろうか。