語り部は冬に願ってはならない
【前書き】
クリスマスなのでギッチギチに書いてみたり、Twitterには800字とか他方では2400字版とかいろいろあるよ
ありもしないことを、語り部は冬に願ってはならない。でなければ戻れなくなる、願った夢に取り込まれるらしい。
ある語り部がいた。語り部は、日課の教会裏の墓場を巡る途中、寒さの寂しさで若くして亡くした両親に会いたいと呟いてしまったそう。そうして、気がつけば見知らぬ屋敷にいたらしい。目の前に青年がいたが、氷柱のような銀の髪の、見知らぬ男だった。
暖炉の火もある、ぬいぐるみが赤い絨毯の上にいっぱいに積まれて、大きなツリーもある。しかし語り部は見知らぬ景色を恐れて、その屋敷から出て行った。そうして元の世界の教会裏の墓場に戻った。が、辺りの雪が赤い花びらで散らばった。墓場には花は咲かない。結局その花はどこからか、何故散らばっているか分からないまま、その日の雪により覆われた。
このような現象を――サンタクロースと、彼らは呼んでいる。伝承上の老人が由来らしいが、その噂も、真偽の程も未だ不明のままだ。
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