空描師の遭難

 ある空描師が雪山で遭難したら、途端に花畑に佇んでいたらしい。この世界では有り得ないほど色彩のある花畑に、そして壁よりも白い服をまとった少女がいたという。 

 その夢は、空が黒い。色として真っ黒で「夜」ではない。携えていた筆で色彩を灯そうとする。

 少女に何色が良いか聞くと、「白い星が見たい」と答えた。しかし彼は白のインクをうっかり多めに空に零した処で――意識を戻しその後救助されたらしい。

 余談だが、彼が助かった理由は上空に白いオーロラがあったかららしい。今もどこかの山では、夜には必ず現れるという。

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