白烏郷のある烏飼いが、山で食材を探していると

 白烏郷のある烏飼いが、山で食材を探していると一羽の黒い烏がいたらしい。

 黒い烏は彼の番よりも一回り大きく、森の木々の高い枝を啄んでいたという。

 山の主かと、彼は供物に採取した食材を並べると、その烏は羽撃いた。忽ちどこからか火の粉が湧いたが燃えず、烏の姿だけ消えてしまった。彼の周りには、少しばかりの山菜が、赤く熟れた山盛りの果実に変わっていたらしい。

 それ以来、他の烏飼いは人為的に黒い烏をつくろうにも生み出されることはない。変わりに生み出さた黒い泥は、周囲に不治の病をもたらすそう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る