異界異聞 #四字物語

文学蘇生者の第一人者であるミヒャエル・レンは一羽の白い鸚鵡を飼っていた

　文学蘇生者の第一人者であるミヒャエル・レンは一羽の白い鸚鵡を飼っていた。彼女は幼少期から踊る文字を描く能力があった。が、鸚鵡はいたずら好きか、その文字を啄んだりして彼女を困らせていたらしい。

　やがて鸚鵡は寿命で死んだ。数十年後彼女は栄光を掴み、隠居して静かに余生を過ごした。

　葬儀も親族のみで執り行った時に、彼女の棺の上で白い鸚鵡が一羽停まった。鸚鵡は目だけ墨のように黒く、何を言うわけでもなく涙したらしい。

　涙もインクのように黒かったが、それは棺の上で数十秒人の形で棺を叩いたという。