第2話 ステージの輝き

「本題に移るけど、私とフレンズを組んで欲しいの!!」

ねろは唐突に話を切り出す。

少女は非常に困った顔で「ごめんなさい」と言った。

「えーっ、なんで!?」

ねろは信じられない!と言わんばかりに驚く。その直後に少女は口を開く

「私、アイドルに興味はあるけどステージに立ったことなんてないですし、ましてやフレンズなんてまだ早いと思うので…申し訳ないけどお断りさせていただきます。」

その言葉を聞いたねろは、すこし額に手を当て考えた後

「じゃあ、私のステージだけでも見てよ!アイドルに興味あるんでしょ?あなたに見て欲しいんだ!」

突然の提案に少女はキョトンとしながらも「わかりました、見に行きます」と言った。

「やったー!じゃあ明日の午後5時におもちゃの宣伝ガールのオーディションがあるから見に来てね、約束だよ!」

飛び跳ねながら話す。その姿はとても嬉しそうで、少女自身も嬉しく感じた。

こんな気持ち、初めて



「それでは、これから新発売のおもちゃ[キラキラスピナー]の宣伝ガールオーディションを開始いたします」

アナウンスが響き渡る中、ねろは少し緊張していた。

ステージを楽しむ余裕、それすらも消えかけていたその時

「かぷさいしんさん!」

図書室で出会った少女が駆け寄ってきた。

「来てくれたんだ!よかったぁ」

ねろは安堵したのか自然な笑顔が出た。


しばらくすると、「エントリーナンバー6番、辛味 ねろさん 辛味 ねろさん。準備をお願いします。」

ねろを呼ぶアナウンスが響き渡った

「じゃあ私、行ってくるね!」


最初にもらったクリムゾンステージコーデ

大好きなステージ

そして名も知らぬ…聞かなかった少女からの一番の言葉

「楽しんで」


「エントリーナンバー6番。辛味 ねろ いきます!課題曲[ハートがスキ❤︎ップ]!」



全力を出し切って、楽しんだ。

見えるのは審査員の笑顔、そして、フィリの輝いた瞳だった。


「審査の結果、今回のオーディション合格者は……、エントリーナンバー6番、辛味 ねろさんです!!」


響き渡る歓声、ねろの中に湧き上がる幸福感と爽快感。

ねろはこれ以上ない大きな声で


「やったー!」


オーディション会場を後にしたら、あの時の少女が立っていた。

「あ!えーと……名前、聞いてなかった!」

自分のせっかちさに困りながら笑うと、少女は答えた

「私、私は羽田 フィリです!フィリって呼んでください!」


「オーディション合格おめでとうございます」

フィリはねろの合格を祝う。

「えへへ、ありがとう!でもフィリちゃんがいなかったら緊張が解けなかったよ」

ねろも彼女に感謝の気持ちを伝える。


今の2人は、最初に出会った時より打ち解けあっている。

「ねえ、今の私たちなら行けそうじゃない」


「えっと、一回だけ…ですよ。」


第3話[辛くて甘い]につづく

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フィリカツフレンズ!!〜わたしとあなたのレシピ(物語)〜 雛林檎 @hinapple19

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