フィリカツフレンズ!!〜わたしとあなたのレシピ(物語)〜

雛林檎

2人の出会い

第1話 出会いは図書室で

「いない、いない……」

桃色の髪の女の子は探す。


「私の、フレンズがいなーい!!!」

自分と組んでくれるアイドルを。


彼女の名前は辛味 ねろ

持ち前の情熱から友達からは[かぷさいしん]と呼ばれ、彼女自身も愛称が気に入っている。


彼女がユニットを探している場所はスターハーモニー学園アイドル科、アイドルになりたい女の子たちが通う学校だ。

「うーん、お友達のメアリーちゃんとりあちゃんはフレンズ組んじゃったし、これじゃニューフレンズオーディションに間に合わないよー!」

ねろは焦りで顔を歪ませた。

ニューフレンズオーディション、それはフレンズの頂点[ダイヤモンドフレンズ]になりたいフレンズが挑むいわば登竜門である。

オーディションまであと一週間、どうしても出たい彼女は急いでフレンズを探す。

もっとも、焦って探しても気があうフレンズなど出会えるはずもなく……



場所は変わり、ここは学園の図書室。静かにホラー小説を読む少女がいた。

彼女はアイドルに興味は抱いているがいまいち抵抗感があり、ブランドの勉強ばかりして過ごしている。

そんな物静かな彼女に、向けられるはずのない視線が目の前から向けられていた。

少女が本を閉じると、目の前にいるのは


「きゃっ!?」

「えへへ、驚いた?」

ねろだった。


「だ、だれ……」

少女は緊張でどもりながらもねろに声をかける。

「私?私は辛味 ねろ!親しみやすくかぷさいしんって呼んで?」

ねろは元気に答えた。

「かぷさいしん、さん、図書館では静かにしてください」

少女が注意するとねろはしまった!と言うように目と口を大きく開けたと思ったら、フィリの耳元で

「じゃあ、食堂行こう?そこで話そうよ!」

と囁いた。

少女は少し困りながら考え、

「じゃあ、手短にお願いします…」

「やったあ!」

ねろは空気を読まず大声で喜んだ

「かぷさいしんさん!ここは図書室ですよ」

少女も普段より声を大きめにして咎めた。

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