第23話

あれから50年が過ぎた。


あの当時は日本中をかけめぐった。

闇の勢力を排除し、透視、テレパシー、瞬間移動の能力をマックス使った!


時には日本から出て、海外のテロを阻止することもしてきた。


あの忌まわしいツインタワー撃墜事件などを二度と起こさせないために。


しかし、ついに見えないなにものかの我慢の限界値に達してしまった。


コロナウイルスを食い止める手立てを僕達は知ることもなく、なんの力にも役にもたたなかった。


殺人や放火などの事件は激変させることはできてもだ。


しかしながら、コロナの影響で経済的に苦しい時代をむかえることになったあのときから、

実はみんなが自宅で覚醒しはじめたんだ。


覚醒の連鎖が起こった。


自分を見つめる時間、家族を思う時間を僕達はたくさんもつことができた。


コロナ渦の中、成婚率があがった。


職業がリセットされはじめた。


淘汰されるなか、若者達が農業や林業、漁業に関心をしめはじめた。


親のいない子達の支援をするグループの輪が日本から始まり、世界で拡散された。


闇の勢力は地下に入ったのか、または別の星に移動したかは、僕にはわからない。


ただ今は携帯を毎日覗いている若者たちはいない。


なぜなら、恋人を思うだけで、連絡をお互いに取りたくなる。


家族を思うと遠くてもなにか荷物がとどく。


みんながこの世に生まれてきた役割を知っている。


孤独な自粛生活の間に、気づき、脳が働きだした。

眠っていた、動いてない脳が!


勉強しようとしたら、宇宙の図書館にアクセスすればいい。


心を穏やかに!

静かな時間をもつことが解決を導きだせることを今ではみんな知っている。


日本のみんなが。


心が軽くなると眉間にしわを寄せた人がいなくなった。

悲しい顔の人が消えた。


優しい笑顔。


笑い声。


一人ではない。


誰かと誠実に繋がる日々。


ある日ポカポカ気持ちの良い日に、ぼんやり散歩を楽しんでいた。


そして、今の時代の幸福感を味わっていた。


サムリーにこき使われながらも彩乃や武瑠、星治

たちと笑いながら正義感に燃えていた輝かしい時代。


公園の噴水の前にたち、虹を見て意識が一瞬とんだ!


虹の切れ間に一秒だけ、なにかが見えた。


そう。それはこの美しさをとりもどし、あの忌まわしいウイルスにも開放されたこの瞬間にもひょっとしたら同時に同じ地球、別次元の地球があるのかもしれないと思った瞬間に一秒間見えた。


荒れはてた地球の景色が。


あれはなんだ?


そう思った次の瞬間に懐かしい声がした。


「久しぶりだな。」

このテノールボイスは!


わぁー変わってない。サムリー!年取ってないじゃないか!


俺はちゃんと70歳の姿になってるっていうのに!

ずるいぞ!


「昴、君の考えていたことはただしい。」


「まだなんも言ってないじゃないか。あっま心読まれてるんだけどね。」


「つまりあの当時に意識を高く覚醒できた人間が今のこの美しさをとりもどし、秩序ある、思いやりの世界にいる。

だが、残念ながら闇の勢力に負けて打ち勝つことができなかっものや、覚醒を拒んだものが裏地球に取り残されダークな世界に渦巻いているのさ。


昴、出発だ。散歩している場合ではない。裏地球を救いにいくぞ」

「えー?またか〜。

仕方ない、やるか。しかしサムリー、俺も若くしてくれよ。」


「安心しろ、ワープした瞬間に昔の昴になってるさ。彩乃や武瑠たちも待ってるぞ」


「そうか。またいっちょ暴れて大掃除するか。


おっと待ってくれー!

楽しくなってきたぞ!」

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君の番だ、次に封印が解かれるのは! 桜木 瑤 @doumyouji

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