ガラクタの天国
春風月葉
ガラクタの天国
ご主人は私を置いて遠い場所に行ってしまった。
持ち主のいないガラクタの私、誰もいない家を片付け、誰もいない部屋に朝を知らせ、誰もいないテーブルに食事を運び、誰もいないことに絶望する。
ご主人は言っていた。
人間は死んだら天国という空の上にある場所にいくのだと。
私も空が飛べたなら、ご主人と共にその場所へ行けたのだろうか。
私も壊れてしまえば天国というものがわかるのだろうか。
それとも、機械に天国はないのだろうか。
遠い昔、神様は人間を作り、少し昔、人間は機械を使った。
神様は人間に天国を、人間は機械に何を。
私はご主人のいないこの場所が天国という場所とは遠い場所なのだと思った。
機械にも次の生というものがあるのなら、人間に生まれたい。
同じように歳をとり、同じように天国へ行きたかった。
廃棄でもいい。
私は私を終わらせたい。
ガラクタの天国 春風月葉 @HarukazeTsukiha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます